2011チャンピオンズリーグ決勝 バルセロナ対マンチェスター・ユナイティド 3-1 梅本洋一
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準ホームであるウェンブリーであっても、マンUにはまったくアドヴァンテージはなく、バルサはいつものバルサのフットボールをして、堂々と勝った。バックラインにプジョルを欠いても、このところバックラインに入っているマスケラーノが十分に欠場を埋めている。前半のうちに次第にペースを握ったバルサは、相手がどこであろうと、またこのゲームがチャンピオンズリーグの決勝であろうが、普通のリーグ戦であろうが、同じフットボールをして、同じように圧勝する。確かに前半はルーニーが一矢を報いたが、ゲーム全体を通じて、ショッツ・オン・ターゲットがこの1本だけでは、マンUに勝機はない。ファーガソンは、モウリーニョのように特別な戦術を使わず、いつのように闘い、そして、単に敗れた。
つまり今シーズンのFCバルセロナは、向かうところ敵なしというか、どこと当たっても同じフットボールをし、常に勝ちを収めてきた。確かに現代フットボールのある到達点がここにある。特にチャビ、イニエスタ、メッシの三角形が形成する中盤は圧倒的だ。アーセナルもマンUもまったく歯が立たず、ここを潰しに来たモウリーニョもぺぺのレッドカードを受けてギヴアップ。
正直に書こう。昨シーズンなら十分に脅威の対象だったこの中盤。見るのに飽きている。クラシコ4連戦では、モウリーニョが幾分かは対応したが、他のチームは、何の策も講じずに、ずるずる負けるだけ。デジャヴュもこれだけ反復するとフットボールに飽きてくる。このゲームの解説の城福は、このバルサに勝つには、バルサ以上のポゼッション・フットボールをする必要があると語った。一理あるが、カンテラ時代から鍛え上げられたフォーメーションを崩すには、今、15歳くらいの才能ある選手を数年間に渡って鍛え上げねば成果を生まない。粕谷秀樹は、でかい奴を数人入れる方法もある、という。だが、ここまでバルサにポゼッションを高められると、カウンターの機会も減り、でかい奴らは、ゲーム中ずっと木偶の坊に終わる可能性が高い。とりあえずの解答としてその2つがあり、さらにぺぺがレッドを喰らうまでのレアルにも海王があるように見えた。そして、もしファーガソンがこのゲームの中盤に、フレッチャー、キャリックで臨んだとしたら、展開が変わったようにも思える。バルサ的に停滞し、見る者を倦怠させるフットボールを打ち破るチームの出現をどうしても期待したい。