11-12チャンピオンズリーグ プレイオフ ウディネーゼ対アーセナル 1-2(1-3) 梅本洋一
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前半、ディ・ナターレの個人技で先制され、トータルスコア1-1になり、後半冒頭からフリンポンに代わりロシツキを投入したヴェンゲル。前半は、フリンポン、ソングの2ボランチがウディネーゼの中盤を押さえていたとはいえ、アタックは連動性を欠いていた。特にトップ下に入ったラムジーの「遅さ」は、彼の能力とは関係なく、ジェルヴィーニョとウォルコットの速度とどうしてもマッチしていなかった。屈強なCFが2枚いれば、ラムジーのような遅さ(あるいはその裏返しの正確さ)は生きたかも知れないが、ラムジーがパスを送る間に、ウディネーゼのゴール前にはディフェンダーが立ち並んでしまう。速度を落とさないパスさばきが必要。ヴェンゲルならずとも誰でもそう考えるだろう。
アーセナルにとって、このゲームは、今シーズン4ゲーム目に当たるという序盤の1ゲームではない。セスクが去り、ナスリが去り、ニューカッスルと引き分け、リヴァプールに完敗した後、チャンピオンズリーグに残るためにも、土曜日のマンU戦に備えるためには、そして、今シーズン全体のためにも、このゲームはぜったいに落とせないゲームだ。しかもコシエルニもウィルショアも故障。粕谷秀樹はレイ・パーカーのようなヴェテランを戻すべきだと言っている。キャプテンマークを巻いたファン・ペルシも昨シーズンの調子に戻っていない。リヴァプール戦を見る限り、今シーズンはダメだな、降格さえもあり得ると思えるような出来。だから、この1戦は、ぜったいに勝利を得て、チャンピオンズリーグに残る。
ソングをアンカーに残し、4-1-4-1の布陣は、ロシツキを中心にボールが回るようになった。決してクリエイティヴなパスを供給しているわけではないが、できるだけワンタッチでスペースにパスを送り続けることでリズムが生まれ、ジェルヴィーニョ、ウォルコットの両サイドが生きてくる。ロシツキにしても、絶好調時──いったいいつのこと?おそらく前々回のW杯のチェコ代表のころかな──に比べれば、まだ60%だろうが、それでも彼はまだ体がリズムを覚えている。ラムジーの「遅さ」の反対の「単純な速度」を体現している。ジェルヴィーニョが右サイドを破ってファン・ペルシが合わせ、ウォルコットがやはり右サイドを切り裂くのにそれほど時間がかからなかった。
ウディネーゼのまずい守備に救われたとはいえ、勝利は勝利だ。ようやく今シーズンの形が見えるようになってきた。本来なら、開幕戦からこのスタイルを見せるべきなのに、今シーズンはセスクやナスリ──それにエブエもガラタサライだ──の問題があって、今、ようやくプレシーズンマッチが始まった状態。宮市にも十分チャンスがあるだろう。マンU戦では「気合い」を見せて、負けない闘いを挑むことだ。