関東大学ラグビー対抗戦 早稲田対慶應 54-24梅本洋一
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点差はもちろんトライ数でも早稲田9トライ、慶應3トライで早稲田の快勝。少人数でラックから速くボールを出し、一気に攻めるという早稲田の戦術が見事にはまった。ブレイク・ダウンでの慶應の劣勢と慶應のディフェンスに「魂のタックル」が見られなかったことが原因。早稲田のアタックは、ウィングの外側に山下や金が立っているという往年のレ・ブルーのマーニュ、ベッツェンの時代を彷彿とさせた。
スペースと間合いを作るためにSOとFBのランが実に効果的だった。このSOにキック力とディフェンス力がつけばかなりいいと思う。そしてかなり練習してきたように見えるキックパスは、まるでフットボールのスルーパスのように面白いように決まった。
これで早稲田の今年のやり方がよく見えた。だが、このチームの将来を考えたとき、このやり方でこれからも勝てるかどうかは分からない。すでに筑波に敗れ、帝京に敗れている。少人数のブレイク・ダウンではボールが出せないときにどうするのか? ターン・オーヴァーなと望めないほと相手のフォワードが強かったときどうするのか? フォワードが劣勢で、スローなテンポのゲームに持って行かれたとき、どうやって対応するのか? 課題は山積している。
つまり、このラグビーは強い者が圧勝するためのラグビーだ。慶應よりもフォワードの重量が上回り、ブレイク・ダウンで完勝し、ターン・オーヴァーが何度でも可能なら、この方法で行ける。だが、帝京のように重く強いフォワードを持ち、これから筋力を増やしたところで及ばないと思える相手に、どう戦うのかという方法論は、ターン・オーヴァーからワイドへ、という戦術となかなかかみ合わないように見える。
どうすればいいのか? 走力のあるフォワードを全面に出すことだ。ラックからクイック・ボールを出すのではなく、なるべくラックを作らずショートパスを多用してスペースを創造し、オフロードで抜いていくスキルを磨く以外にないだろう。小倉と井口を多用した今日のゲームの戦術は有効だろう。早稲田には、抜けるセンターがいないのだろうか? とりあえず慶應よりはフォワードの強い明治を相手に、スペースを創造することに成功すれば、対帝京、対東海の作戦も見えてくるかも知れない。