関東大学ラグビー対抗戦 早稲田対明治 18-16梅本洋一
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ちょっと遅きに失したが備忘録として今年の早明戦について。
早慶戦でツボにはまった早稲田のワイドに振る方法とキックパスだが、早明戦の明治では毎年のことだが、ここ一番のディフェンスをシャローで仕掛けてこられると、ふたつともうまく行かなかった。もちろん強風の影響がキックパスをためらわせたかもしれない。だが、SOが狙いを定めたキックをする余裕が明治のディフェンスで与えられていなかった。さらに明治のシャローでしかも粘り強いディフェンスが、大外に位置する早稲田の選手にパスが送られる前に早稲田のラインを封じていた。
だからゲームは拮抗する。こういうゲームはPGで勝負が決まるものだ。ラスト2分での明治SHの不用意な反則がゲームを決めてしまった。
これから大学選手権に向けて、両チームともまだまだ伸びシロがあるようだ。まず明治だが、まず原点回帰で十分このチームは成長する。かなり強いスクラムをもっと強化する。そしてこの日はほとんど出なかったモールをしっかり仕込む。そこからSOのキックでFWを前に出す。バックスはディフェンスに徹する。色気を出さずに、戦術を単純な「メイジ」に絞り込むだけで、帝京とも拮抗したゲームが挑めるだろう。
そして早稲田。こちらの方がチームを成長させるのが難しい。なぜなら、よりタイトなスクラムを常に組めるようにし、プレッシャーがかかった中でのパスとキックの精度を高め……などなど多くの課題を解決しなければ、今年のチーム戦術が熟成してこないからだ。まず明治が優勢だったスクラムを最低でもフィフティフィフティにもっていかないと帝京と当たっても対抗戦と同じ結果になる。スクラムをイーヴンに組めるようになると、バックラインにスペースが生まれて、パスやキックにも余裕が生まれ、今年の戦術が有効になる。もしスクラムの強化が望めないときは、パスやキックのスキルを数段階アップする必要がある。スクラムの強化よりはずっと時間がかかり、常に動いている中でのプレーの選択という判断力の問題も出てくるから、1〜2週間のレッスンで解決するのは不可能ではないか。つまり、早稲田の場合も明治と同様にスクラムの強化がキーになる。考えてみれば毎年面子が代わる学生チームの強化方法は、そんなに多彩にはない。早稲田が今シーズン選んだ戦術は、学生には難しすぎるかもしれない。(もちろん、困難に挑む方が格好いいのは重々承知だ。)