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June 25, 2011

《再録》What a wonderful world

[ cinema ]

(2011年6月25日発行「nobody issue35」所収、p.57-61)  『東京公園』とはどんな映画かともし人に聞かれたら、僕はこのシーンの話から始めるだろう。  三浦春馬演じる志田光司が初めて画面に登場する場面。カメラにレンズをセットし、一眼レフを構えた彼を真正面から捉えたカットに続いて、公園の広い中心部に向かって歩み出す彼の後ろ姿をカメラは切り取る。小さくなる彼の後ろ姿の上に重なるの...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 8:00 PM

《再録》宇宙人さん、こんにちは

[ cinema ]

(2011年6月25日発行「nobody issue35」所収、p.52-56) 東京=公園  これを書いている今日、ずいぶんと都内を移動した。  まず海外の映画雑誌のコピーを取る必要があったので、最初に京橋のフィルムセンターに行ったけれども休館日だった。それで、銀座線と東西線を乗り継いで早稲田の演劇博物館まで。そのあと、今度は日本語の文献を調べたかったので、東西線と有楽町線を乗り継いで永田町の国...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 7:40 PM

『サウダーヂ』富田克也
結城秀勇

[ cinema ]

 昼休憩の時間が終わりに近づき、味噌ラーメンを食い終えたふたりの男は冷房の効いたラーメン屋を出る。その戸口で彼らは、呼吸と共に急激に襲いかかる熱気にむせかえるようにしながら、大きく伸びをする。そして、「こんな日に仕事しちゃだめっすよねえ」。  ただそれだけのことで、その暑さを理解する。山梨の夏がどんなものかは知らないし、その暑さの中での肉体労働の経験があるわけでもない。でもなんとなく、生まれ育った...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 7:32 PM

June 15, 2011

『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』マルコ・ベロッキオ
増田景子

[ cinema ]

「あなたはひとりでファシズムや国と戦おうとしている。」と、若き日のムッソリーニの愛人であるイーダは言われる。この映画はまぎれもなく第二次世界大戦に続いていく戦争の話であり、また、イーダというひとりの女性の戦いの話でもある。しかしながら、結局この映画の中で彼女はいったい何と戦っていたのだろうか。     ムッソリーニとイーダのふたりが愛し合っていた頃、彼女はファシズムに勝利していた。成り上がるために...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 11:36 PM

June 14, 2011

『NINIFUNI』真利子哲也
渡辺進也

[ cinema , cinema ]

 まだ興奮冷め切れぬままにこれを書いているので、乱文であること、ご容赦いただきたいと思う。とにかく、一刻も早く吹聴して回りたくて仕方ないのだ。『NINIFUNI』がとんでもない傑作であること。どれだけ言葉を費やそうともかなわないくらいにすごい作品であり、少しでも多くの人の眼に触れることを願ってやまないことを、もうとにかく吹聴したくてたまらないのだ。  『NINIFUNI』はこれまで見たことがないよ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:04 AM

June 10, 2011

『まなざしの旅 土本典昭と大津幸四郎』代島治彦
萩野亮

[ book , cinema ]

「土本典昭お別れの会」のようすを映した冒頭、壇上の熊谷博子は、次の弔辞に立つ人物をこのように紹介する。 「土本さんの容態が少し悪くなり、皆さんが駆けつけたときがありました。土本さんは大津さんを見つけると、必死に起き上がろうとしながら、大津さんの手を強く握り締め、こう云いました。『ぼくはきみに会えて本当に幸せだった。きみのおかげでぼくの人生はゆたかなものに変わった』と」。  そうして前に立った大...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 8:57 AM

June 9, 2011

モーリス・ガレルが亡くなった
梅本洋一

[ cinema ]

 不思議なことに若かりし頃の彼をほとんど覚えていない。フィルモグラフィーを見れば、トリュフォーの『柔らかい肌』にも『黒衣の花嫁』にも出演している。だが覚えていない。ジャック・ロジエの『アデュー・フィリピーヌ』にも父親役で出演している。こちらは朧気に覚えている。  やはり決定的だったのは息子フィリップの映画『自由、夜』の彼だ。彼は1923年2月24日生まれだそうだから、このフィルムの完成時、60歳。...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:29 AM

June 5, 2011

ジロ・デ・イタリア2011 後半まとめ
黒岩幹子

[ sports , sports ]

人食い、火星人、ピンクのサンタクロース。これらは今回のジロ期間中、アルベルト・コンタドールにイタリアのメディアやライバルたちから与えられたあだ名だ。たぶんイタリアのサイクルロードレース・ファンたちは、チャンピオンリーグ決勝におけるマンUのサポーターのような気分を2週間以上に渡って、このスペイン人王者に味わわされたのだろう。何しろ、最終日の個人タイムトライアルでゴール前の数百メートルをガッツポーズで...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 8:03 PM