journal

« August 2016 | メイン | October 2016 »

September 29, 2016

『潜行一千里』空族+スタジオ石+YCAM
隈元博樹

[ design ]

 前方に設えられた4つのスクリーンと、後方の1スクリーンに囲まれた映像のインスタレーション。『バンコクナイツ』に登場するロケーションとノイズの数々が、計5つのスクリーンに囲まれた私たちの身体へと呼応していく。『潜行一千里』とは旧大日本帝国陸軍参謀であった辻政信による著書『潜行三千里』に由来したものだが、このインスタレーションは『バンコクナイツ』の撮影クルーであるスタジオ石と空族が敢行したタイとラ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:07 AM

September 27, 2016

『バンコクナイツ』富田克也
渡辺進也

[ cinema ]

日本人の客とタイの女性の間で交わされる日本語での会話に、まるでこれがバンコクではなく東京かどこかで行われているかのような錯覚に襲われる。高層マンションとキラキラネオン輝くバンコクの夜は、街中に流れる川を隅田川に見立てた東京の河岸地域のようだ。日本人を相手にした店が並ぶタニヤ通りは、日本人が客引きをし、店の中では現地の女性が日本語で話す。ただ女性たちだけがタイの女性であり、そこにやってくる客も、はた...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 7:21 PM

September 14, 2016

『スラッカー』リチャード・リンクレイター
結城秀勇

[ cinema ]

リンクレイターの長編2作目にあたる1991年の作品。「インディーズ映画の雄リチャード・リンクレイター(『6才のボクが、大人になるまで。』)が描くジェネレーションX青春映画です。後世に絶大な影響を与え(とくにケヴィン・スミス)、のちに監督する事となる傑作『バッド・チューニング』の関連も随所に見て取れる90年代インディペンデント映画の歴史的な一本!」(Gucchi's Free School 作品解説...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 11:25 PM

『チリの闘い』パトリシオ・グスマン
三浦 翔

[ cinema ]

一九七〇年、チリに世界初の選挙による社会主義政権が誕生した。『チリの闘い』には、このアジェンデ政権が、一九七三年九・一一の軍事クーデターによって倒れるまでの過程が記録されている。第一部「ブルジョワジーの反乱」と第二部「クーデター」を通して見えてくるのは、固有名詞の強さである。この映画の主役は政治家では無い。街頭インタビュー、工場での議論、デモなど、無数の発言によって政治が描かれる。彼らは「アジェン...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:51 AM

September 10, 2016

『人間のために』三浦翔
結城秀勇

[ cinema ]

「闘争の最小回路とは、力のクリスタルのことだ。力のクリスタルは、ふたつのレヴェルにおいて形成される。第一のレヴェルは、行為と知覚の結晶化プロセスだ。映画や演劇の俳優は、行為と知覚とのこのクリスタルを生きている。優れた俳優は、演技をすると同時に、演技する自分をつねに知覚してもいるからだ。俳優とは、自己をアクター/オーディエンスへと二重化し、自己においてそれらを結晶化させる術を知っている者のこと...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 5:45 PM

September 1, 2016

『ケンとカズ』小路紘史
若林良

[ cinema ]

本作は主人公であるケンとカズ、そして彼らの弟分のテルが、対立する組織の下っ端に喧嘩を吹っ掛ける場面から始まる。そこでの決着がついたあとに、ケンとカズを下から見上げるようなショットが印象的だ。前方にしゃがむカズと、後方からカズを見下ろすケン。本作において両者の「顔」が正面からはっきりと見える場面は、この対照的な姿勢のふたりを捉えたショットを除けばほとんど存在しない。物語は、妊娠した彼女や認知症の母の...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 6:04 PM