February 21, 2019
《ペーター・ネストラー監督特集in京都》、最後に掲載させていただくトークは、2018年12月5日に京都・出町座での『良き隣人の変節』上映後に行われたトークです。『良き隣人の変節』は第二次世界大戦中、15歳でポーランド東部ソビブル絶滅収容所に送られたトーマス・"トイヴィ"・ブラットが、年月を経て再び収容所跡地、逃亡した際のその道のりを訪れます。 いまだヨーロッパで大きな問題としてあるナチ協力の問題...
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February 17, 2019
タイトルにある「王国」とは、直接的には、幼い頃のアキ(澁谷麻美)とノドカ(笠島智)がある台風の日にシーツと椅子で作り上げたお城と、その周りに広がるはずの想像上の空間を指す。それから20年あまりを経た彼女たちの関係性にも未だ、あの日の「王国」は影響を与え続けている。少なくともアキはそう考えている。しかも、それがただアキのひとりだけの思い込みだと断じることができないのは、「王国」のせいであろうとなか...
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February 13, 2019
some kind of hope in the pessimistic world ボスニア出身の母とオーストリア出身の父を持つガブリエラ・ピッシュレルは、かつてクッキーを箱詰めする工場で働いていた。だからこそ、その経験や価値観を指針とし、映画に正当な労働者の視点を持ち込んでいる。また同時に、彼女は「ロッキー・バルボア」のような度胸のあるへこたれない女性主人公を創出したいと語っていた。それらは、...
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今回、掲載させていただくのは、2018年12月4日に同志社大学寒梅館クローバーホールでの『外国人1 船と大砲』、そして『空洞人』の上映後に行われたトークです。テレビシリーズの1本として作られた作品と現時点で監督の最新作となる短編作品をもとに、このトークでは、ネストラー監督の映画作りの方法、そしてドキュメンタリーとフィクション映画とはといった内容が語られます。 渋谷哲也 ペーター・ネストラー監督は...
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February 9, 2019
飛び立つスズメとその鳴き声、水たまりに張った氷、フェンスと道路の間に挟まってカサカサと震える枯葉、川に至る階段、高架下で聞こえてくる「トントントントントン、さあきたよ、みぎみぎひだり......」という少年の声。冒頭、立て続けに配置される断片的な映像は、いったい誰の視点なのだろう。当たり前に考えれば、木々の葉が揺れる映像から、そこに向けてスマートフォンのカメラを構えるうめ(伊藤帆乃花)のカットへ...
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February 8, 2019
『きみの鳥はうたえる』を観て以来、石橋静河の二の腕がとても気になっている。僕(柄本佑)や静雄(染谷将太)の肩にだらりと着地する、あの緩やかな感じ。また、衣服の袖先から描かれる、しなやかな上腕のライン。しかし、その興味の矛先は、彼女本来が持つ肉質な部分から来るものではなく、透き通るような肌の色艶に裏打ちされたものでもない。最もこの身体の一部に惹かれてしまうのは、目に見える実態としての有り様よりも、...
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2018年11月末に来日したペーター・ネストラー監督が、京都で行なったトークショーを、今回複数回に渡って掲載させていただけることになりました。 まず掲載させていただくのは、12月3日に京都の映画館・出町座での『ミュールハイム(ルール)』、『時の擁護』、『アーノルト・シェーンベルクの《映画のための伴奏音楽》入門』上映後に行われたトークショーです。この3作品はストローブ=ユイレ関連作品として組まれてお...
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February 3, 2019
美術家のアイ・ウェイウェイが監督を務めた『ヒューマン・フロー 大地漂流』のような映画を見ると、居心地の悪い気持ちになる。なぜなら、一種の「社会正義」を表した映画に対して、少なからぬ苛立ちを覚えるとともに、批判的な態度をとらざるをえないからだ。実のところ、アイ・ウェイウェイに対する筆者の見方は少し複雑だ。彼に対しては、時々の情勢に応じて器用に立ち回る「政治屋」のようなところがあるのではないかとの疑...
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February 2, 2019
これを見るために『アンブレイカブル』を見直したのだが、そこで得た教訓は、何事も程度の問題だよなということだ。イライジャ=ミスター・ガラス(サミュエル・L・ジャクソン)は言う、「コミックのヒーローたちの能力は誇張されてはいるが、それは本来人間が本能として持つものだ」と。つまり、彼の極度に傷つきやすい身体も、デイヴィッド=オーヴァーシーアー(ブルース・ウィリス)の極端にケガも病気もしない身体も、程度...
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