December 28, 2019
「駄作と傑作を分かつものはなにか」に関して個人的な好悪を越えた、ある程度理論立てた説明や判断基準を持ってはいるが、それと同時にある映画について駄作的にならざるを得なかった背景などが伺い知れてその必然なり事情なりが感じ取れると、私的な感覚として傑作駄作の境界は曖昧になる。だがそれを素直に他人に敷衍して語ることはない。ただ迂遠に、映画そのものを、その"或る映画"と"映画というもの全体"を肯定したい気...
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December 14, 2019
11/23(土) 一日目。小雨が降っていて地味に寒い。しかも、私用で午前中は大学に行かねばならず、ギリギリで朝日ホールに滑り込む。今年のフィルメックスは目玉の『ある女優の不在』と『ヴィタリナ』を海外版DVDと釜山映画祭で観てしまったので、残りの作品を重点的に観ていこうという計画である。私にしては珍しくあらすじも監督情報もほとんど調べずに観た。変な期待をしないほうがホームランになる確率も上がることは...
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December 13, 2019
90年代初頭から最近までずっとちょこちょことフィルムによる映写をやっていた。大阪でミニシアターやシネクラブやポルノ館の映写をやり、02年に上京して試写室の映写技師をやり、ミニシアターのスタッフをやり、という経歴だったので、周防正行最新作『カツベン!』はそういうところからいろいろ感じることや思い出すことのある映画だった。 周防正行のこれまでの監督作のほとんどはそれぞれ異なる設定と筋書きながら、...
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December 12, 2019
しばしば気づいているはずなのに、いつもいつも忘れてしまうこと。スカーレット・ヨハンソンはけっこう背が低い。あのはち切れんばかりに膨らんだ胸とお尻のイメージで見積もるよりかなり小さい。しかもアダム・ドライバーと並ぶんだからだいぶ小さい。そして、知ってはいるけれど、アダム・ドライバーはいつもいつも思ってるよりでかい。ギュッと縦に押しつぶしたようなヨハンソンの身体と、びよーんと縦に引き伸ばしたようなド...
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December 10, 2019
朽ちたホワイトハウスを前に、4人がゾンビたちと対峙するオープニングシーン。スローモーションの多用、ストップモーションの中でカメラだけが動いていく場面(『マトリックス』を思い出させる)などそのバカらしさがひたすら楽しい。だが、この「派手な」シーンはこの映画の中で、ほぼこのオープニングシーンにしかない。その後ホワイトハウス内での擬似家族としての生活、それからミニバンに乗りメンフィスを目指す、その後の...
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December 9, 2019
すごいの見つけてきたな、おい!、と言いたい。 それは、スペインの西部劇テーマパークでこのチャールズ・ブロンソンのそっくりさんロバート・ブロンジーを発見して起用した監督レネ・ペレスに対してなのはもちろんだが、この映画を配給する江戸木純氏にも向けられる。わかるひとにはわかる話をすると、90年代に『ドラゴン危機一発 97』とか『新・ドラゴン危機一発』があったが、これが見事に羊の皮(パチモン、邦題のい...
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December 3, 2019
フィルメックス日記①はこちらへ 2019/11/29 この日は映画鍋と共催のシンポジウム「映画の"働き方改革"〜インディペンデント映画のサステナブルな制作環境とは?〜」を聞きに行った。興味があったのは、実のところ経済産業省側の視点で、彼らは日本映画の現状をどう考えているか気になりその話が少しでも聞けたのは良かった。経済産業省にはコンテンツ産業課というものがあり、今年の夏に映画制作現場実態調査なる...
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December 1, 2019
子供の頃よくたむろって遊んだという死者を祀る廟の前で、久しぶりに会った年長の知り合いに挨拶をしたら向こうは気づかず、「アハだよ」と言ったら向こうが「あー!!」ってなって肩をバシバシ叩いてくるときのあのホウ・シャオシェンの笑顔は、3、40年前のわんぱく小僧だったときも彼はこんな風に笑っていたのだなと思わせるなにかがあって、それだけで泣けてくる。 その直前のシーンで、彼は小さい頃によくマンゴーを盗...
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