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September 23, 2021

『ジュデックス』ルイ・フイヤード

[ cinema ]

 これは映画『ジュデックス』1916年、についての評とも言えない、メモ。ほぼ、単なる全12話のあらすじガイド。  judex とはラテン語で"審判者"という意味だそう。恐ろしい手立てや強硬さで悪を罰する本作の"ジュデックス"は、二十世紀以降のダークヒーローの始祖という感じ。  サイレント期のスタンダードなスタイルである目の高さの、引いた位置からの撮影の一種平板さは、純粋に「筋」「物語」を見ていく、...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 7:28 PM

September 13, 2021

第78回ヴェネチア国際映画祭 山下つぼみ監督インタビュー《後編》

[ cinema , interview ]

(前編はこちら)ーーイメージフォーラム研究所で制作されたアニメ作品を除くと、かなり台詞が多く、状況や心情がほとんど言葉で説明されているような作品が多いように見えます。それに対して、『かの山』では、言葉を削ぎ落とした、まったく逆のアプローチをしています。『かの山』に登場するカップルは、関係の溝を視線によって語っています。後半の入浴シーンまで二人の視線はまったく合いません。背中を向ける、あるいは、遮蔽...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 7:41 PM

第78回ヴェネチア国際映画祭 山下つぼみ監督インタビュー《前編》

[ cinema , interview ]

第78回ヴェネチア国際映画祭、オリゾンティ部門の短編コンペティションに、山下つぼみ監督の新作『かの山』がノミネートされた。 複数の短編を制作しながらも、まだ私たちにとって未知の若手監督である彼女に、ここに至るまでの道のり、新作に込められた思いを伺った。 *インタヴューは前編、後編に分けてお送りします ーー『かの山』に至るまでの映像、あるいは映画との関係を教えていただけますか? 山下つぼみ 子供の頃...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 6:33 PM

September 11, 2021

『ドライブ・マイ・カー』濱口竜介

[ cinema ]

 濱口竜介の『ドライブ・マイ・カー』を見て、ここにはワーニャ伯父さんと2人のソーニャがいる、と思った。この映画は村上春樹の短編小説を原作とするが、濱口が「もう一つの原作」と述べるほど、チェーホフの『ワーニャ伯父さん』が重要な位置づけを担っている。  途方もなく豊かな魅力をもつ傑作である『ドライブ・マイ・カー』をめぐっては既に多くの言葉が費やされており、これからも多くの言葉が費やされていくだろうが、...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 7:05 PM

『ミッドナイト・トラベラー』ハッサン・ファジリ

[ cinema ]

 『ミッドナイト・トラベラー』は、アフガニスタンを脱出した映画監督一家がその逃避行、流浪を撮影したドキュメンタリー映画だ。  2015年、アフガニスタンの映像作家ハッサン・ファジリ氏が制作したドキュメンタリーが国営放送で放送されると、タリバンはその内容に憤慨。出演した男性を殺害し、監督したファジリ氏にも死刑を宣告。ファジリ氏は、妻で同じく映像作家のファティマ・フサイニさんとふたりの娘ナルギス、ザフ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 4:19 PM

September 10, 2021

『先生、私の隣に座っていただけませんか?』堀江貴大

[ cinema ]

 最終話の漫画が妻の佐和子(黒木華)によって描かれていくなか、夫でありアシスタントの俊夫(柄本佑)は黙々とカッターを使って「トーン貼り」を行っていく。出来上がった漫画は「先生」である彼女の最終チェックを受けたのち、完成を待つ担当編集者の千佳(奈緒)の元へと収められる。こうした冒頭の描線や切り貼りの工程からも、ふたりは夫婦であるばかりか、紛れもない仕事仲間であることが窺える。しかしながら、かつてメイ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 6:34 AM