December 31, 2021
映画の冒頭、天文台で地球に迫る巨大彗星を発見した大学院生ケイト(ジェニファー・ローレンス)とメンディ博士(レオナルド・ディカプリオ)がただちに首都へ呼び出される。ところが、窓のない倉庫のような輸送機の腹に揺られて行った先は、どこか様子がおかしい。ホワイトハウスは彼らをさんざん待たせた挙げ句に追い返す。付き添いの将軍は彼らから小金を騙し取る。今は非常事態ではないのか。ここは本当に彼らの知っているア...
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December 28, 2021
カメラがゆっくりとラジオに近づいていく。「ウォルター・ウィンチェル・ショー! 提供は時計のグリュエン 」ラジオ番組の開始を聴くソファに寝そべる女性(膝だけが見えている)。そこへ男が帰ってくる。「ルーシー!ただいま!(Lucy, Iʼm home!)」男女の顔は見えず、カメラは依然としてラジオを大きく映し出しているものの、マイクがラジオの音声に比して二人の会話を大きく拾い始める。「どこをほっつき...
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「聖書は世界で最も売れている書物なのです」。訪問販売員のポール・ブレナンはそう口にする。ロッキングチェアに座る女性は、そのセールストークに耳を傾けながら、なんとか断る方便を探しているようだ。ポールが売ろうとしている聖書は、ただの聖書ではない。特注仕様の装幀にサイズは広辞苑並のヴォリューム感、そしてなによりも高額なのである。さらにカトリック大事典とのセット購入を選択すれば、値はより張るだろう。そのた...
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December 23, 2021
エドガー・ライト監督はこれまで手掛けてきた作品において、自身が過去に影響を受けたフィルムにオマージュを捧げてきた。個人的には、『ポリス・ストーリー/香港国際警察』(1985)のセリフがそっくりそのまま主人公によって叫ばれる、『ホット・ファズー俺たちスーパーポリスメン』(2007)のクライマックスがとりわけ印象深い。 本作はホラー映画としてカテゴライズされてはいるものの、悪夢に囚われてしまった主...
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December 19, 2021
12月4日 「70ー80年代アメリカに触れる!名作映画鑑賞会 in 京都みなみ会館」の初日に行って来た。ひさしぶりの京都みなみ会館だ。大学が京都だったので、学生時代は結構な頻度で通っていたがそれも10年前になる。新装されてからはとてもおしゃれになっていて、外国の建物のようだと来る度に思う。映画館に着くとN'夙川BOYSの「プラネットマジック」がかかっていて、それも妙に雰囲気に合っていた。上映の3...
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December 17, 2021
少なくともこの長い題名を見ただけでは、何のことやらさっぱりわからない。だけどこの知的で秘密を孕んでいそうな語感の良さに、観る前から不思議と惹かれるものがあった。そしてこの映画を観終えたとき、その感覚は間違っていなかったのだと確信することができた。 冒頭から母親のベアトリス(ジョアン・ウッドワード)は、何やらウィッグをいくつも試着し、冷たい無表情で自分の姿を見つめる。またある場面で、彼女は車のド...
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December 16, 2021
暗い面持ちのスーツ姿の男性。視線の先には心電図の画面。白衣を着た別の男性も同じ画面を見つめる。波打ち規則的な音を鳴らしていた心電図だが、ふとその波形は崩れ、直線に近づき、不安げな顔が映る。白衣の男たちも心電図を深刻そうな顔で眺める。心電図の波は直線を映し出し、しかし一呼吸おいて「大丈夫です」と言う白衣の男。病院での手に汗握るワンシーンかと思いきや、直後画面に映し出されるのは赤いフェラーリである。...
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December 15, 2021
画面に出るタイトルでは『レスビアンハーレム』。日本語で常用されている女性の同性愛を指すレズ、レズビアンはなぜか濁点つきだが、原語のlesbian からすればたしかにこの「レスビアン」のほうが正しい。 小沢昭一の文章や藤井克彦監督によるにっかつロマンポルノ『実録 桐かおる にっぽん一のレスビアン』(74年)、『レスビアンの女王 続・桐かおる』(75年)でその存在がいまも知られるストリッパー桐かお...
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December 3, 2021
私が以前、自分の家族についてとある雑誌にエッセイを書いたとき、読んでくれた人が家族について「壮絶な痛みと救いの混在する場所」と表現していたことが今でも強く記憶に残っている。 『17 Blocks/家族の風景』はワシントンD.Cのホワイトハウス近郊にある最も危険な区域と言われる街で暮らす黒人の家族、サンフォード一家の20年間を記録したドキュメンタリーである。監督からカメラの使い方を教わった末っ子...
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