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May 14, 2022

『距ててて』加藤紗希

[ cinema ]

 些細なことがきっかけとなり、ひとり、またひとり、アコ(加藤紗希)とサン(豊島晴香)の住む家に人々が訪れる。例えばそれは鹿児島から上京した不動産屋の新卒社員である田所(釜口恵太)だったり、宛先を間違えて送った友人からの手紙を待ち続けるフー(本荘澪)だったり、他所の台所を使って華麗に手料理を振る舞う彼女の母(湯川紋子)だったり......。またサンの職場の先輩であるともえ(神田朱未)の家では、別れた...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 7:29 PM

May 10, 2022

『明日は日本晴れ』清水宏

[ cinema ]

 1948年の公開以来、74年ぶりの上映とされる『明日は日本晴れ』は、『蜂の巣の子供たち』に続く、清水宏の戦後第二作である。国立映画アーカイブ研究員の大澤浄さんが、集まった人たちにおそるおそる聞く。 「皆さんのなかに、当時この映画を見たという方はいらっしゃいますか」  一瞬、会場が緊張する。手を挙げる人はいなかった。気持ちがほぐれて端々に笑顔がもれ、そして一気に、上映にむけて気持ちが引き締まる。 ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:17 PM

May 6, 2022

『バンビ:ある女の誕生』セバスチャン・リフシッツ

[ cinema ]

 揺らぐ波形が画面いっぱいに広がる。波を切って進む客船が青い海に白い泡を立てているのだ。客船の甲板にはベージュのコートに身を包み、薄いブルーのスカーフを巻いた人物がいる。海の向こうを見るその人物は、サングラスをかけ、うっすらと微笑みをたたえているようにも見える。彼女の名はマリー=ピエール。フランスでは「バンビ」という愛称で知られている。このひとりの女性の孤高とも言える肖像を『リトル・ガール』(20...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 8:20 PM

May 5, 2022

《第17回大阪アジアン映画祭》『徘徊年代』チャン・タンユエン(張騰元)

[ cinema ]

 戦後の状況下を説明する冒頭のフッテージに引き続き、どこからともなく「彼らにとっての幸せな時代が いつか訪れると思っていた」という女性の声が聴こえてくる。この「幸せな時代」とは、レンガを無骨に積み上げていく男性の姿とシンクロすることからも、当初はそうした時代を希求する彼についての物語だと思っていた。だがその推測は、ほどなくして間違いであったことに気付く。なぜなら『徘徊年代』は、異国の地で自らのフィ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:35 AM

May 4, 2022

《第17回大阪アジアン映画祭》『遠くへ,もっと遠くへ』いまおかしんじ

[ cinema ]

 いまおかの作品は、その気の抜けたような世界観や緩い文体とは裏腹に、毎回生命と愛の叡智を感じさせられ、思わず涙が溢れるのだが、今回も例に洩れずであった。  小夜子(新藤まなみ)は将来を描けない夫婦生活に倦怠を感じており、離婚を考えている。友人からのアドバイスで離婚後の住居を探している最中に、彼女は不動産屋に勤務する男、洋平(吉村界人)と知り合う。二人は距離を縮めていくが、やがて小夜子は洋平が突然失...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:09 PM

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