September 30, 2022
8歳の少女ネリーは、おばあちゃんの最期にさよならを言えなかった。すでに祖母が亡くなった後の時間から物語は始まり、少し前まで彼女が暮らしていた老人ホームのような施設を母とともに訪れたネリーが、そこに住む年老いた女性たちに別れのあいさつをするため、部屋から部屋へとさよならを言って回っている。祖母のいた部屋にネリーが戻ると、片付けをしている母がいて、その後カメラに背を向けてベッドに腰かけ、閉じた窓か...
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September 27, 2022
『石門(Stonewalling)』ホアン・ジー&大塚竜治監督インタビュー
主人公の若い女性リンは、英語を学びながら、客室乗務員を養成するための学校に通っている。しかし予期せぬ妊娠が発覚した後、パートナーに中絶したと告げると、反目していたはずの経営難の診療所を営む両親の元へと戻り、未来を模索し始めることになる。ホアン・ジー&大塚竜治監督は、実際に妊娠から出産に至るまでの彼女の10ヶ月を、静謐な演出で捉えていく。表情を変えず、けっして感情を露わにすることがないにも関わらず、...
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September 23, 2022
9月23日(金)よりの「生誕80周年記念 クロード・ミレール映画祭」に合わせ、『伴奏者』の日本盤初DVD化(2014年、発売:IVC)の際に封入リーフレットに寄せた文章を再掲する。一読してわかる通り、先立ってアップされた梅本洋一氏の文章「見えない距離を踏破する クロード・ミレールについて」に多くを依る文章なので、この機会に併せてお読みいただければ幸いだ。 1942年から43年にかけての冬...
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September 21, 2022
距離の運動 〈目〉と呼ばれる初老のしがない私立探偵は、彼の所属する探偵事務所に出向く。またあの口うるさい社長に会わなければならない。仕事はまた尾行だろう。案の定、大金持の中年婦人に依頼された彼の仕事は、息子のフィアンセの尾行だった。誰も彼女のことを知らないのだ。緑が一斉に吹き出したような館の巨大な庭の草むらの影から、依頼主の息子と彼の恋人が楽しそうに語り合っ ているのを覗き込む〈目〉。2人は館に...
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September 19, 2022
距離の認識 クロード・ミレールの処女長篇 『一番うまい歩き方』が公開されたのは1967年のことである。友人のリュック・ベローとミレールが共同でこの映画のためのシナリオを書き終えたのが72年のことだから、実際の撮影にこぎつけるまで実に3年以上の歳月が費やされていることになる。ミレールが映画に接近をはじめたのが60年代初頭のことだから、78年までには15年近い年月が経過している。ミレールは映画を前に...
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September 17, 2022
生誕80周年記念クロード・ミレール映画祭が9月23日から開催される。それに合わせて、季刊「リュミエール」2号に掲載された梅本洋一氏のミレール論を、編集長だった蓮實重彦氏のご許可をいただき、全3回に分けて再掲する。言及される作品は今回の特集で上映されるものだけはないが、ミレールの映画への情熱、あるいはそれゆえの諦念がどのように彼のフィルムに息づいているのか、それが鮮やかに描き出されており、ぜひご一読...
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September 9, 2022
映画作家高橋洋はマッチョイズム傾向を持つひとであるが全方向にフェアでクリアな姿勢を持ち、メインに活動するホラージャンルにおいて女性賛美、女性崇拝的なところの強い作り手でミソジニー(女性蔑視)の逆、反ミソジニストに見える。 映画『リング』(98年)は、原作の「貞子」と「呪いのビデオ」を具現化したことと、もともとは我が子の呪いを解こうと奔走する主人公が父親であったのを母親に変えた脚色ではっきりパワ...
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