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August 31, 2023

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』ホアキン・ドス・サントス、ケンプ・パワーズ、ジャスティン・K・トンプソン

[ cinema ]

 前作『イントゥ〜』を見た人にはすでにお馴染みの、見てない人も『アクロス〜』を見ている間にすぐお馴染みになる、スパイダーマン(たち)の紋切り型自己紹介でこの映画は幕を開ける。しかし語り手であるグウェンは「すごく違ったふうに」に始めようと言うのであって、彼女が語るのは彼女自身のバックグラウンドではなく、本シリーズの主人公であるマイルズ・モラレスの物語だ。放射能グモに噛まれたり、いろいろ大変なことがあ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 3:26 PM

August 24, 2023

『CLOSE/クロース』ルーカス・ドン

[ cinema ]

  ルーカス・ドンは『CLOSE/クロース』でレオとレミ、二人の少年の身体的な触れ合いとその名付けようもない親密さについて描いた。彼らは恋愛や友情などに必ずしも規定されない関係であったにも拘らず、パブリックな場所においては彼らの身体的な触れ合いが「恋愛」の枠に押し込められ、セクシャリティをジャッジされ、レオとレミの間には次第に溝が生まれてしまう。レミが自ら命を絶つことで、レオとレミの関係は終わり、...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:55 PM

August 20, 2023

『タブロイド紙が映したドリアン・グレイ』ウルリケ・オッティンガー

[ cinema ]

 2枚の写真がある。1枚は愛を交わすカップル、もう1枚は仲違いするカップル。そのふたつの映像の間にある物語をでっちあげるのが、この映画ではタブロイド紙に代表されるマスコミの役目である。ふたつの映像をつなぐ方法を考えるということは映画の編集に似ていると言えるのかもしれないし、いやいやふたつの映像を映像外の言葉でつなぐなどもってのほかでふたつの映像それ自体が語る言葉に耳を傾けるのが映画なのだなどとも言...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:53 PM

August 8, 2023

『幸運を!』サッシャ・ギトリ

[ cinema ]

 なにげなくかけた「幸運を!」という呼びかけが、本当に幸運をもたらす。ギトリ演じるクロードは、「自分には運はないが、人に幸運を与えることはよくある」と自らの特殊な能力(?)を説明するのだが、この物語を真に動かすのは彼の幸運を人に与える力それ自体よりも、ジャクリーヌ・ドゥリュバック演じるマリィの、自らに与えられた幸運を与えてくれた当人へと再分配しようとする行為の方にある気がしてならない。  あなたに...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 5:08 PM