April 30, 2024
2008年12月28日からイスラエル軍によるガザへの軍事攻撃が始まり、この攻撃は翌2009年1月18日まで続いた。イスラエル軍による空爆の続く2009年1月1日に、ガザに暮らすある人物は世界に向けて次のように発信していた。「死がガザを覆い尽くしている。嘆きと哀しみが2009年という新年の挨拶なのだ。/血と大量の死体の匂いがする! 毎分のように悪い知らせが新たに届く。(中略)どこに行けばいいのか、...
全文を読む ≫
April 27, 2024
© KOMORI Haruka + Radio Shimo-Kajiro 山形国際ドキュメンタリー映画祭2023でこの作品を見たときの記憶では、カラオケシーンが多いこの映画で、カラオケだけではなく歌手本人の歌うバージョンもラジオとしてチラッと流れる気がしていた。美空ひばりの「愛燦燦」や加山雄三の「君といつまでも」が部分的に流れていた気がしたのだが、見直したらそんなことはなかった。さらに山口百恵...
全文を読む ≫
2011年の東京電力福島第一原子力発電所事故によって、浪江・双葉・大熊・富岡町から避難してきた方々が暮らす下神白団地。そこに住む人々に、かつて暮らしたまちの思い出を語ってもらい、当時聞いた曲とともにラジオ番組風のCDにして配布するのが「ラジオ下神白」というプロジェクトだ。 その活動風景を記録したのが映画『ラジオ下神⽩ーあのとき あのまちの⾳楽から いまここへ』である。ではあるのだが、この映画に...
全文を読む ≫
April 21, 2024
これからこの映画を見ようとする人に、この作品は、監督の祖父である飯岡修の絵画が所蔵された場所を巡り、そこに彼の日記の一節が引用されるというつくりになっている、ということを前もって伝えるべきなのかどうかがよくわからない。なにも知らずに見てもタッチのよく似た何枚かの少女の肖像を見ていれば自然とひとりの画家を追っていることはわかると思うし、逆にあらかじめそれを知っていたとしても、日付もコンテクストも欠...
全文を読む ≫
April 14, 2024
映画は、主人公であるジャーナリスト・クリストフが男と並んで、過去のニュースフィルムを見るシーンから幕を開ける。トップシーンを構成するのは次の3つの映像である。17世紀スイスの革命家・イェナチュの肖像画と亡骸、彼の墓を発掘した人類学者トブラーの姿を捉えたスタンダードサイズのモノクロ映像。横並びになった二人の男が画面外に視線を注ぐヨーロピアンヴィスタサイズのカラー映像。持続する音声(トブラーの語り)...
全文を読む ≫
April 13, 2024
クリストファー・ノーランの作劇は常に「誰が物語作者になりうるのか」を巡るゲームとして展開され、このプロットの組み立て方は初期から『オッペンハイマー』まで基本的には一貫している。複数の軸を用意した上でそれぞれの軸に作者を用意し、各々による物語の奪い合いによって映画を駆動させる。並行モンタージュや時間軸の錯綜といったノーランの代名詞的な編集はそのようなプロット構築から必然的に要請される手法であった。...
全文を読む ≫
April 2, 2024
ただのネタバレでしかないです。見てから読んでください。 ここで書きたいことをひとことで言えば、この映画のラストカットが冒頭の骨発見につながる理由がまったくわからなくて、そこにとにかく感動した、ということだけだ。 クッキーがあのまま眠るように死んだというのは百歩譲ってわかるにしても、キング・ルーは外部の干渉なしでそのまま安らかに死んだりはしないだろと思うのだ。いやもちろん、あのこれ見よがしに登...
全文を読む ≫