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May 27, 2024

第77回カンヌ国際映画祭報告(4)ファブリス・アラーニョ インタビュー《後編》

[ cinema , interview ]

インタビュー《前編》はこちら ーージャン=リュック・ゴダールは、常に新しいテクノロジーに関心を持ってきました。たとえば、彼に強い影響を受けたフィリップ・ガレル監督は、フィルムでしか映画を撮りません。ゴダールは、自分の映画を変化させ続けること、そして、結果として映画の定義そのものを変化させました。彼のテクノロジーへの関心についてどう思いますか。 私はあなたからの影響もあるのではないかと思っています。...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 7:02 PM

第77回カンヌ国際映画祭報告(3)ダフネ・ヘレタキス インタビュー

[ cinema , interview ]

カンヌ国際映画祭には、四つの短編部門が存在する。公式部門には、コンペティションと学生映画(Le Cinef)部門 、そして、併行部門である監督週間短編部門(ノンコンペティティブ)と批評家週間短編部門(コンペティション+特別上映)である。とりわけ公式部門と批評家週間部門のコンペティションにノミネートすることは、ヨーロッパを出自にするか否かに関わらず、初長編を製作するに当たっての大きな飛躍となる。なか...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 4:39 PM

May 26, 2024

本読みと鹿――濱口竜介『悪は存在しない』をめぐって

[ cinema ]

 冒頭、木立を真下から仰角でとらえた見事なトラベリングショットと、青いニット帽とダウンの少女のショットに続いて、一心不乱にチェーンソーで木を切る男がとらえられる。『悪は存在しない』の主人公と言ってよいであろう、この安村巧(大美賀均)なる男は一体何者なのか。この映画の不気味さと魅力の一端は、やはりこの主人公――と、その娘の花(西川玲)――の得体の知れなさにあるように思う。  ごく単純に、この二人が何...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:52 PM

May 25, 2024

『ゴースト・トロピック』バス・ドゥヴォス

[ cinema ]

©︎ Quetzalcoatl, 10.80 films, Minds Meet production フィルムで撮影されたブリュッセル郊外の夜景は心地よく、静かな環境音とそれを決して邪魔しない音楽は観客を落ち着かせ、作品に没入させる。映画館で見ることにぴったりな作品だと思う。  清掃の仕事を終え、いつも通りに列車に乗るが、気づいたら終電まで寝過ごしてしまう中年の女性ハディージャ。彼女は娘に電...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 4:44 PM

May 24, 2024

『美しき仕事』クレール・ドゥニ

[ cinema ]

 かつてアフリカのジブチで外国人部隊の上級曹長を務めていたガルー(ドニ・ラヴァン)は、フランスの自宅で回想録を書いている。彼自身の声によってそれが静かに読み上げられると、画面には、当時彼が指導していた部隊の兵士たちが日々の訓練をする様子が映し出されていくのだが、そこで彼らがまとっている白いユニフォームは、緑がかった青い空や海の背景とコントラストをなすと同時に、こうしたアフリカの大地の色の反射で輝い...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:00 PM

May 20, 2024

第77回カンヌ国際映画祭報告(2)ファブリス・アラーニョ インタビュー《前編》

[ cinema , interview ]

ファブリス・アラーニョは、長年ジャン=リュック・ゴダールの右腕としてサポートを続け、終着点となる作品『Scnéarios』は、生前のゴダールによる詳細な指示のもと、彼の手によって完成した。自身も映画作家であり、ゴダール作品をインスタレーションという形で、別の「生」を与えることを使命としている彼の言葉を聞いた。 ーーあなたは20年来、ジャン=リュック・ゴダールと共犯関係にあり、アシスタントを務めてき...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:22 PM

May 18, 2024

第77回カンヌ国際映画祭報告(1)ミトラ・ファラハニ インタビュー

「芸術」という言葉に身を委ねて

[ cinema , interview ]

ジャン=リュック・ゴダールが残した最後の作品となる『Scnénarios』が、公式部門カンヌクラシックにて上映された。 『イメージの本』の危機を救い、『A Vendredi Robinson』で我々の知らないゴダールの姿を捉え、そして、彼の終着点まで寄り添った、ミトラ・ファラハニに話を聞いた。 ――監督やプロデューサーになる前に、あなたはまず第一に画家でしたね。映画制作であり、製作(特に監督)を始...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:00 AM

May 14, 2024

『マグダレーナ・ヴィラガ』ニナ・メンケス

[ cinema ]

©1986 Nina Menkes ©2024 Arbelos  『マグダレーナ・ヴィラガ』では、娼婦であるアイダ(ティンカ・メンケス)が仕事をするシーン、すなわち行きずりの男とセックスをするシーンが幾度となく挿入されるが、アイダは男を誘惑するような素振りを一切見せない。男をホテルの一室に招き入れた後、彼らの顔を見ることもなければ自ら服を脱ぐこともなく、いかなる甘い言葉をかけることもない。部屋に...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:37 PM

May 13, 2024

『悪は存在しない』大美賀均インタビュー「森を迂回して」

[ interview ]

早急に建設されようとしているグランピング施設を巡る、地元住民と東京から来た芸能事務所の二人組との討論は、『悪は存在しない』においてもっとも魅力的な場面のひとつである。不透明な計画の粗を地元住民たちは各々の言葉、語り方で的確に詰めていく。そんな場面を見ながら、ではこの映画の監督である濱口竜介は謎多き『悪は存在しない』というプロジェクトをスタッフ、キャストにどのように説明したのだろうか、と気になった。...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 3:59 PM

May 11, 2024

『走れない人の走り方』蘇鈺淳

[ cinema ]

この映画の中で、主人公の桐子(山本奈衣瑠)は幾度となく空を仰ぐ。上の空でいるというよりは、どこからか流れてくる風や光を浴びているのか。それとも向こうからやってくる何かを見つめているのか。彼女が空を仰ぐたしかな理由ははっきりとわからないが、そのさまをどれだけ見つめていても見飽きることはない。ただ、そんな桐子はひとつの映画をつくり上げるために、まるで映画を撮影するカメラのようにして目の前に広がる世界へ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 7:41 PM