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September 20, 2024

『満月、世界』塚田万理奈

[ cinema ]

『満月、世界』(9月21日(土)よりユーロスペース他全国順次公開)  自身の影のように見えた年長の女性がどこかにいるのではないかと思える街の雑踏に背を向けて去ってゆく聡子(堀春菜)と、これから働きに出る人も多くいるであろう、やや暗くなり始めた夕暮れの新宿の空を映して幕を下ろす『空(カラ)の味』(2016)から8年。監督の塚田万理奈は、成長する子どもたちを10年がかりで16mmフィルムにおさめる長...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 7:01 PM

『満月、世界』塚田万理奈監督インタヴュー「本物の人間たちに、書かれた物語が少しずつ負けていって、現実に近づいていったらいい」

[ cinema , interview ]

 年齢の離れたふたりの女性の関係性の変化を描いて幕を閉じた前作『空(カラ)の味』(2016)から8年。監督の塚田万理奈は、成長する子供たちを10年がかりで16mmフィルムにおさめる長編第2作『刻』を今も撮影中だ。そのプロジェクトの折り返し地点として公開されるのが、「満月」(みつき)と「世界」という2本の短編をおさめた本作『満月、世界』(2023)だ。 『空(カラ)の味』では、子供の視点から年長の女...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 7:00 PM

September 13, 2024

【後編】『石がある』太田達成監督、出演・加納土インタビュー「夜と昼の間で」

[ cinema , interview ]

 大きな水門にぶつかることで、ふたりはそれ以上先に進めなくなる。そのときはじめて、「どこに向かっているのか」がふたりの間で問題になる。行きはよいよい帰りはこわい。日が傾き近づいてくる夜と、ふたりのそれから。(前編はこちら) ーー枝一本からなにかが生まれたという話と、直後の場面で小川さんが約束の場所に行かずに川を去ろうとする場面はどこか対照的なような気がします。あのとき彼女はiPhoneを取り出しま...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:05 PM

September 6, 2024

【前編】『石がある』太田達成監督、出演・加納土インタビュー「川と岸の間で」

[ cinema , interview ]

 「なにもない」旅先で、見知らぬ誰かに出会う。ただの石、ただの枝と呼ぶほかないものが、それでもそれだけが持つ特徴によって、無数の石や枝の中でも特別なものになる。でもだからといって、この出会いが恋や愛と呼ばれなければいけないわけじゃない。無名なものと有名なもの、川と岸、ありふれたものとスペシャルなもの、それらの境目を『石がある』は漂い続ける。  順撮りでふたりの川辺の行程をたどるように撮影されたとい...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:08 PM

September 3, 2024

『夜の外側 イタリアを震撼させた55日間』マルコ・ベロッキオ

[ cinema ]

 マルコ・ベロッキオの『夜よ、こんにちは』(2003、以下『夜よ』)と『夜の外側 イタリアを震撼させた55日間』(2022、以下『夜の外側』)は、どのような関係にあるか。また、『夜の外側』の冒頭のシーンをどのように捉えるか。こうしたことについて少し書いてみたい。  『夜よ』と『夜の外側』は、1978年3月に起きた赤い旅団によるアルド・モーロ元首相誘拐事件を共に題材としている。両作の差異としては、も...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 4:14 PM