journal

« September 2024 | メイン | November 2024 »

October 30, 2024

『監督のクセから読み解く名作映画解剖図鑑』廣瀬純

[ book , cinema ]

 10年ほど前、廣瀬さんと「シネ俳句」で世界進出を企てたことがあった。「シネ俳句」とは、ある一本の映画のある場面(ここが重要、あらすじや感想を書くわけじゃない)を5・7・5で記すものである。だが、自分で提唱しておきながら一句も「シネ俳句」を詠まない宗匠・廣瀬に向かって、不肖の曾良たる私・結城は、ある日次のように問うたのだった。「俳句だと季語とか必要ですし、川柳とか短歌のほうが気が楽じゃないですか」...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 11:22 AM

October 20, 2024

『グレース』イリヤ・ポヴォロツキー

[ cinema ]

 この映画で最初に十代半ばの少女と父親がひとつのフレームに収まるとき、娘が初めて父に放ったのは「汚いよ」という言葉ではなかったか。それは、その直前に経血で汚れた下着を川で洗っていた自分自身を指して発せられた言葉にも聞こえるし、放浪を続けているふたりの生活の場であるキャンピングカーのなかで娼婦のような女性と関係を持った後、外で待つ自分を迎えにやって来た父に対して吐かれた言葉にも聞こえる。名前すら与...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 3:31 PM

October 13, 2024

『ピアニストを待ちながら』七里圭

[ cinema ]

 昨年、45分版を見たときの文章を、「登場人物たちの会話にいきなり挟まれるジャンプカットや、カット間の「性急な」とも思えるつなぎ、そうした「待つ」こととは正反対にも思える方法でこの作品が構築されていること」について機会を改めて書きたい、と結んだのだが、どうもその約束を果たせそうにない。というのも、60分版を見た印象が45分版とはぜんぜん違っていたからであり、かといって「性急な」という印象を与えた...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 6:06 PM

October 11, 2024

『プロミス』ジャスティーン・シャビロ、B.Z.ゴールドバーグ

[ cinema ]

 イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ地区への侵攻が始まって1年が経過した。ガザ地区での死者は4万人を超え、侵略と虐殺が止まる気配はない。イスラエルとパレスチナの問題はこの1年間で始まったものではない。2001年に制作されたドキュメンタリー映画『プロミス』はイスラエル、パレスチナの双方に住む人々の暮らしや生活環境、そして彼らの思想を形成している歴史を学ぶうえでも重要な作品である。そして、制作から2...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 9:35 PM