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February 15, 2009

『ザ・クリーナー 消された殺人』レニー・ハーリン
渡辺進也

 一見するとひどく平凡な映画にみえる。昨今のサスペンス映画につきものの、「ラスト6分40秒、この罠は見抜けない」といった宣伝文句を見るとジェームズ・フォーリーの『パーフェクト・ストレンジャー』のような作品を思い浮かべてしまう。しかし、もしそうした点からこの映画をみるとひどくつまらない映画のようにみえるのである。この映画のラストの、観客をびっくりさせるような度合いは非常に低い。これをサスペンス映画と...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:55 PM

October 8, 2008

パリ・ドアノー/ロベール・ドアノー写真展@日本橋三越ギャラリー
梅本洋一

 ワインやチーズなどを買い求めるおじさんおばさんでごった返すフランス・フェアー開催中の日本橋三越でロベール・ドアノー展を見る。  この著名な写真家について解説する必要などないだろう。アンリ・カルティエ=ブレッソンと並んでパリの特権的な瞬間を写し続けた写真家だ。かなり狭い会場に膨大な写真が展示されている。ここもおじさんおばさんで満杯。いくら伊勢丹が親会社になっても、三越のブランドイメージはそんなに変...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:49 PM

June 24, 2008

『最後の抵抗(マキ)』ラバ・アメール=ザイメッシュ
結城秀勇

 積み上げられた無数のフォークリフト用パレットが赤く視界を染める。そこはパレットの修理とトラックのメンテナンスを行う工場だ。輸送の根底に関わるその場所には、しかしながら流通の主体となるようなものはない。パレットはあってもその上に乗せる商品はなく、壊れたトラックはあってもそれが商品を積んでどこかへ流れていく姿はない。ここで働く人々を含めこの作品に現れるすべてのものは、工場の狭い敷地内で修理と再配置を...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 9:54 PM

January 16, 2008

『東京1950年代―長野重一写真集』
梅本洋一

 本書の63ページに「表参道 青山」(1952年)と題された一枚の写真が載っている。横位置の写真がぼぼ中央で区切られ、上方にはごくわずかな雲しかない空がある。空と陸を区切るのは黒々とした林だ。青山通りから原宿駅に向けて捉えた写真。表参道の幅の広さは今のままだろう。かつてあったもの。同潤会アパートメント。まだ窓には洗濯物がはためいている。そして、おそらく明治通りから原宿よりは両側が林だったのではない...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 9:08 AM