10/10「ヴェテランの味」

梅本健司
結城秀勇

  2年に一回なら、あっこんな感じだったよなとペースが掴めるのだけれど4年ぶりの開催で、想像以上に映画を見ることに疲れてしまった。昨夜で終わってしまった新香味庵もちょっとしか顔を出せず。残念。
 最後のシメは恩地日出夫『蕨野行』。若い嫁と老いた姑の会話のボイスオーヴァーが全編を支配しているのだが、離れた場所にいるふたりがどのような方法でやりとりをしているのか、手紙を綴る場面などもないからよくわからない。魂で通じ合ってる?でも物語が進むうちに彼女たちには世代ゆえか、理解し合えない大きな隔たりがあることが明らかになり、若い嫁がそれを消化できないまま、映画は終わる。
 切り返しが全然なかった。気がする。市原悦子が生き別れた妹と再会する場面では、妹のクロースアップが撮られて、ここで切り返されるのかなと構えたが、対する市原悦子の寄りはなかった。ただ最後、老人たちが死後雪遊びをするという、物語においては感動的だけれど、演じている年配の俳優たちの負荷を考えたら穏やかな気持ちで見ていられない場面では、切り返しがこれでもかと使われていて、そこで彼らがもうこの世の人ではないんだなと強く納得させられる。
 上映後、アテネの松本さんにご挨拶したら、「いやぁ期間中行き来していて(東京と山形)」と軽い感じでおっしゃられていて、宿と市民会館を往復しているだけで疲れたとか言っている自分が恥ずかしくなった。タフはヴェテランたちを見た日。最後の夜はふくろでおでん。(梅本健司)前日へ

  前日2時過ぎまで餃子倶楽部で飲んでそこから3kmくらい歩いて帰ったら、まったく起きられず、遊びに来た甥っ子に起こされる。強い雨。家から出られない。
 名物辛味噌ラーメンを食べられる店はそこここにあるのだが、山形駅前龍上海なきいま、ガツンと魚介の効いた辛味噌ラーメンへの郷愁に駆られることがある。ラーメン自体のうまいまずいより、そうそうこれこれ、という感じ。
 雨も止んだので、映画も見ずにメシを食いに。駅脇の焼き鳥そね田。なにを食ってもうまく、雰囲気もすこぶる良し。名店。そこからハシゴして、山形に帰ったら絶対食いたい絶品麻婆豆腐のあじあんダイニングYOROZU.屋へ。駅前の五十番でも人気メニューの肉ラーメン、肉焼きそば(細切り肉のあんかけののった麺)は、東京で食べたくなっても意外と出してる店がない郷里の味。(結城秀勇)前日へ翌日へ