『サッシャ・ギトリ 都市・演劇・映画』〈増補新版〉刊行記念 特集
20世紀初頭から1950年代のパリで、ふたつの大戦を生き、演劇の叡智をたずさえ、サイレントからトーキへの移行期に映画の現代性をいち早く理解し、変革して行ったサッシャ・ギトリは、トリュフォー、ゴダール、ユスターシュ、カラックス、そしてタランティーノにまで影響を与え、年々、その評価が高まっている。その唯一無二の映画作家について日本で唯一の評伝が『サッシャ・ギトリ 都市・演劇・映画』である。著者の梅本洋一が逝去してから10年目にあたる今年、4月25日に同書がソリレス書店より「増補新版」として復刊された。著者によるエッセイ、講演の採録ほか、トリュフォーがギトリに捧げた追悼文、オリヴィエ・アサイヤス、青山真治による寄稿、充実したフィルモグラフィ&全作品解説など豪華な内容となっている。そしてこの刊行を機に今年3月にはシネマヴェーラ渋谷にて日本で初の本格的なサッシャ・ギトリ特集が開催され、クリス・フジワラ、濱口竜介のトークも行われた。ここでは同書の編者である坂本安美によるテキスト、前述のフジワラ、濱口のトー クの再録、そして藤原徹平による書評を掲載させて頂く。