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2006年07月09日
Waiting for Godot
3位決定戦が終わった。予想通りドイツの勝ち。だが両チームとの棚卸しの様相。ポルトガルを見ると、イエロー累積でリカルド=カルバーリョの欠場が痛い。このセンターバックはルーニーに急所を踏まれたり──そういえばマンU対チェルシー戦でルーニーを骨折させたのは彼だったね──、アンリの足を引っかけたりして話題に事欠かないが、やはり世界屈指のセンターバックだ。もちろんイングランドのリオ、テリーのコンビもそうだが、コートディヴォワールのトゥレ、スイスのセンデロス、そしてリカルド=カルバーリョ、プレミアのセンターバックは素晴らしい。カンナヴァーロだけがすごいイタリアよりもプレミア勢は、センターバックに事欠かない。1-3で敗れたポルトガルだが、フィーゴのクロスにドンピシャ飛び込んだヌノ・ゴメスを見ていると、ポルトガルの黄金の世代へのちょっとしたノスタルジーを感じる。
W杯効果というのは、とても大きい。小学校2年の息子のフットサルのゲームがあった。周知のとおり、この年齢の子供たちは、全員ボールの周囲に集まって、「ハンカチーフ」の上のフットサルになるのだが、息子たちのチームを見ていると、少しだけ視野が大きくなっているを感じる。「デコっていつも首を動かしているよね」「そうボールもらう前に周りを見ようぜ」ゲーム中は「周りを見ようぜ!」と声を掛け合っている。フットボールに興味のある子は皆W杯を見ている。そして学んでいる。先週まではボールを持つとドゥリブルでゴールに向かうことしか考えなかった子供たちがパスすることにトライし、ポジショニングを考えるようになっている。「体で止めろよ!」「負けるな」「頑張れ!」という周りの父兄たちの意味のない応援に耳を貸さず、格好いいフットボールを子供たちが目指している。終わると「とても楽しかった」と言っている。
そして明朝は決勝だ。昼食をとったピザ屋のイタリア人の親父は、今日は店に泊まって、そのまま友人たちと観戦すると言っていた。今日は、いろいろと展開を思い浮かべているのだが、完全にジズーのチームにしてしまったフランスは、それほど多くの展開を見いだせない。98年の優勝時は、当時右サイドバックだったテュラムの2発とか、重鎮センターバックのローラン・ブランの1発とか、意外な人が決めていたが、今回はジズー、アンリ、ヴィーラ、リベリ以外得点の匂いがしない。ジズーにはガッツゥーゾ、アンリにはカンナ、ヴィーラのトイ面はピルロ(?)、そしてリベリにはザンブロッタか。こういうゲームになると、1対1が大きなウェイトを占める。今名前の出てこないイタリア人の中盤はペロッタ! フランスの決定的なゴール──たとえばスペイン戦の2点目、ブラジル戦の得点──は全部ジズー経由。けれどもイタリアのそれはピルロからグロッソへのスルーパスだったり、カンナ→ジラルディーノ→デルピエーロだったり、トニの頭だったり、かなり多様だ。
フランスは、W杯に入ってから予選リーグ3ゲームでチーム構成を思考し、決勝トーナメントのスペイン戦でチームが軌道に乗ってきた。先発メンバーを代えることはないだろう。マルチェロ・リッピは当然ジズーを押さえることから考えはじめる。ガットゥーゾをポリスマンにするかもしれない。チャンピオンズリーグでも最後はやられたが、彼はロナウジーニョを担当した。ポジショニングに優れたイタリアのディフェンダーは、アンリにスペースを与えないだろう。とすればイタリア有利。あとはアタックだが、トッティはマケレレに押さえられるだろう。ジラルディーノとトニ対テュラムとギャラスということになるが、これはイーヴン。それにマケレレ、ヴィーラにトッティのパスが封殺されるだろうから、ジラルディーノとトニには好球が行かない。
とすれば延長戦濃厚だ。フランスは、誰を入れる? ヴィルトールやゴヴーといった常套手段か(この場合、交代はリベリとマルーダ)、トレゼゲ投入(誰と代える? )しかない。もしドメネクに、延長になれば運動量の落ちるジズーに代えてトレゼゲを入れる勇気があれば、フランスにも勝機はあるだろう。
イタリアは? まだすごいカードが2枚残る。デルピエーロとインザーギ! たとえトッティを残してジラルディーノとトニがアウトでも彼らふたりがいる。リッピは彼らの投入を延長まで待てれば満点。特にこのゲームではインザーギに注目している。
でも予想なんて外れるさ。膠着状態でPK戦かも。ゴドーさんは今日もいらっしゃいません、と言われるのはどっちのチームか?
投稿者 nobodymag : 2006年07月09日 21:52