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2007年10月08日
Rebel with Causes : 南アフリカ対フィジー 37-20、アルゼンチン対スコットランド 19-13
番狂わせ(?)が2ゲーム続いた前日に比べて、この2ゲームは、大方の予想通りの結果だとも言えるだろう。だが、フィジーとスコットランドの抵抗がとても興味深く見えた。
まずフィジーはウェールズ戦に続いて「フィジアン・マジック」全開! スクラムを捨てパスプレイに徹し、ウェールズ戦以上に好印象を残した。どのチームもキックばかりの今回のW杯の中で、もちろんキックという選択肢もあるのだが、それ以前にラグビーの基本はパスプレイだという姿を実践して見せてくれたからだ。そして、彼らにとっては、ブレイクダウンの弱さすら大した問題ではない。クラッシュする前に放す、そして、サポートのランも直線的なものよりは、ディアゴナルなランで、次々に方向転換をしていく。パスも速いもの、遅いものを織り交ぜて、スペースとタイミングを創造していく。スプリングボクスは、少しズレ気味で入ってくるフィジーのランにハードヒットできない。ブレイクダウンもなかなか形成できない。もちろん、最後にはFWの力の差で勝利を収めたが、スプリングボクスに対して戦う方法をフィジーは見せてくれた。
そして、スコットランドはFWが健闘し、アルゼンチンにはこう戦うのだという見本を見せてくれた。FWがイーヴンならエルナンデスのスーパーキックの威力も半減する。ディフェンスを固めたスコットランドは、アルゼンチンにほとんどラインブレイクを許さなかった。結果的には1PGと1DGの差で敗れはしたが、もし、彼らにもっとワイドに展開力があれば、勝負は分からなかったろう。確かにエルナンデスの技術はすごいが、アルゼンチンのラグビーは退屈だ。FWの頑張りとエルナンデスのキックだけでここまできたが、もう手札が全部出揃ったようで飽きてきた。勝てばいいのかも知れないが、ぼくたちがスポーツに期待するのは、かつてゴダールが映画について語ったCroire à l’incroyable, c’est ça le cinéma、つまり「信じ難きを信じることこそ、映画だ」の「映画」の部分をラグビーに置き換えたもの。昨日のフランスが一回だけ産み出したフレアみたいなものだ。開幕戦で驚きを以て迎えられたアルゼンチンのラグビーも、何度も見ると驚きを感じなくなるどころか、そろそろマンネリズムに陥っているように思える。
さて準決勝はイングランド対フランスとスプリングボクス対ロスプーマス。まず後者から。
ボクスがトライネイションズの緒戦当時の徹底したシャローのディフェンスからターンオーヴァーして両ウィングという戦術に徹すれば、エルナンデスという至宝も輝きを失うだろう。プーマスに勝つにはまずFWを粉砕すること。それにスプリングボクスのFWかイングランドのFWが相応しい。ブレイクダウンでのスカルク・バーガーとジョアン・スミスの活躍が鍵になるだろう。出したボールは常にワイドに。両ウィングが快走すればロスプーマスは敵ではない。ロスプーマスは何と言ってもピチョットの出来とリーダーシップ。前半20分までにボクスFWが圧倒すれば差が付くだろうが、プーマスがスローな展開に持ち込めば、エルナンデスのキックがものを言う。
そしてイングランド対フランス。これは分からない。順当にいけばフランスだが、オールブラックスに対する奇跡の勝利で、彼のモティヴェーションが切れているかも知れない。するとウィルキンソン! ラポルトは、前半はボクシス、後半はミシャラクというオールブラックス戦と同じ戦略で来るのではないか。彼は一度覚えたことを何度でも使うタイプだ。拮抗すればイングランドにも勝機があるだろう。
決勝が開幕戦と同カードになる可能性も捨てがたい。イングランド対ボクスでは面白くない。イングランド対プーマスでもつまらない。ぼくらファンは、フランスが最終日にサンドゥニに戻ることを期待している。ここでもまたフレアが必要だ。
投稿者 nobodymag : 2007年10月08日 23:14