特集『夜の外側 イタリアを震撼させた55日間』
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『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』、『夜の外側 イタリアを震撼させた55日間』と2本の新作が公開され、今年はマルコ・ベロッキオの年だ。にもかかわらず、『エドガルド・モルターラ』がかかる劇場は客がまばらで、大作『夜の外側』に際してもベロッキオを見返そうという機運がそこまで高まっていなさそうなのが寂しい現実である。
優れた映画作家がみなそうであるようにいつだってベロッキオは見られるべきなのだから、今こそ見られるべきだとあえて書くのは難しい。しかしジャン・ルノワールが130歳を迎える年において、「すべての人に道理がある」という『ゲームの規則』の提言をいまもっとも先鋭的に引き継いでいるかもしれないベロッキオの新作にも増して見るべき作品はないのではないか。
『夜の外側』は全6話から構成されている。それぞれのエピソードは視点をガラリと変え、モーロ事件に迫る、あるいは突き放されていく。今回は作品全体の論考、各話の論考とともに特集をお届けする。