1. | 『トウキョウソナタ』(黒沢 清) |
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2. | 『イースタン・プロミス』(デヴィッド・クローネンバーグ) |
3. | 『クリスマス・ストーリー』(アルノー・デプレシャン) |
4. | 『接吻』(万田邦敏) |
5. | 『アンダーカヴァー』(ジェームズ・グレイ) |
2008年はどんな年だったのかを思い出すとき、これら5本は、その記憶を構成する欠かせぬ要素となっている。この年は決して「明るい」年ではなかったのだ。この袋小路を抜け出せる回路はあるのだろうか。希望へと接続するブレイク・スルーはあるのだろうか。
フットボールの新たな扉を開いてくれた。よいフットボールはするが勝負に弱い、のではなく、よいフットボールをするから強い。スポーツはこれではなくては。
人に迷惑をかけ続ける中原だが、この本と12枚のアルバムを世に出した。これはすごいことだ。
1960年に28歳で自殺した美貌の女性シンガー、ベヴァリー・ケニーの復刻アルバム。ちょっとしゃがれた高音の声で歌うメル・トーメのナンバーをクルマの中で、そして自宅で研究室で仕事をしながら何度聞いたことだろう。
自転車を飛ばして何度も通った。メインのカレーもうまいけれど、アンチ・パスト・ミストのようなオードヴルはもっとおいしい。
これからが大変なことはよく分かっているし、ぼくも、未来の彼に失望するかも知れない。でも、当選の夜のシカゴの演説は本当に良かった。日本語で、聴く人の心を動かす政治家には、一生出会えないだろう。
『アイアンマン』(ジョン・ファヴロー) |
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(ポール・トーマス・アンダーソン) |
『アンナと過ごした4日間』(イェジー・スコリモフスキ) |
画像や動画の収拾で(無駄な)時間を費やしたF1ドライバー。ベルガーと一緒につかんだ初優勝に涙、最終戦でのチャンプ争いへの絡み方に興奮。プライベーターながら結果を出すべきときに出し、それをアピールできるという、久々に現れた下克上ドライバー。この人を応援するためにF1を見続ける、そう思わせることができる若者。
世間的には今年は彼女の年ではなかったかもしれないが、05年から『ドミノ』、『プライドと偏見』、シャネルの広告モデル、その間の「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズを経て、去年の『つぐない』に至ることで彼女の魅力をようやく理解した。コスチューム・プレイ以外の作品にももっと出て欲しい。
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(ポール・トーマス・アンダーソン) |
『クリスマス・ストーリー』(アルノー・デプレシャン) |
『イースタン・プロミス』(デヴィッド・クローネンバーグ) |
『アンダーカヴァー』(ジェームズ・グレイ) |
『フィクサー』(トニー・ギルロイ) |
『アンダーカヴァー』でブロンディがかかっていたのはやっぱりすごいことと思う。「昔の名曲」みたいなかたちで様々な機会に紹介されるような曲だけれども、映画の中で耳にしたのは初めてのような気がする。『フィクサー』をあげたのは、シドニー・ポラックが最後だということで、製作や出演で名を連ねるおびただしい数の作品にももしかしたら目を向けるといいような気になった。
2008年で最後
確か十数年くらい前に、ジャミロクアイを広告で起用したかなにかで、若者向けのとてもおしゃれな感じのしたブランドだった。なくなると聞いて、何となく感傷的な気分で数枚買ってみました。アミューズCQNの場所にお店がありました。
友人にビデオのダビングを頼まれ、久方ぶりにビデオデッキを使用したら、いつの間にか調子が悪くなっていてテープをムシャムシャと食べられてしまいました。この機会にちゃんとしたビデオデッキを奮発して買おうと思ったのですが、いまはむしろ安物のビデオデッキしか手に入らないようです。ツタヤで鞄が四角くなるくらいにビデオテープを大量にレンタルなどということも、いつの間にかしなくなったような気がします。
デーモンラバーの撮影で使用されていた、クラブも営業が終わってしまったようです。
70年代創業の老舗輸入レコードCD屋さんもなくなってしまいました。数年前輸入CDをめぐって様々議論があったことをふと思い出しました。
ここ数年テレビで見られるようになったため、ラリーも見るようになった。アジアの新興国などで開催するようになったF1よりも、ラリーの方がまだまだ景色がヨーロッパ的で奥ゆかしいように思う。
1. | 『トウキョウソナタ』黒沢清 |
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2. | 『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(ティム・バートン) |
3. | 『アンダーカヴァー』(ジェームズ・グレイ) |
4. | 『イースタン・プロミス』(デヴィッド・クローネンバーグ) |
5. | 『アンナと過ごした4日間』(イエジー・スコリモフスキ) |
『トウキョウソナタ』のエキストラ参加でもらったTシャツはまだ大事に着ている。下の4本は「ロンドン/ロシアン・マフィア/スコリモ」というキーワードで、何やらしりとりができそうな重々しいタイトルばかりになった。このほかにはケシッシュの『クスクス粒の秘密』を挙げておきたい。
特集上映 | ジャック・リヴェット&ダグラス・サーク |
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人 | クリント・イーストウッド |
本 | 『赤めだか』立川談春 |
スポーツ | アーセナル対ハル・シティ1-2 (9月27日) |
2008年の涙と興奮の思い出あれこれ。周辺の人たちの評判を聞きつけて『赤めだか』を読んでみたが、僕はどうやら「師弟もの」にどうしようもなく涙もろいことがわかった。まさにクリント・イーストウッドの映画だ。『チェンジリング』、『グラン・トリノ』と2008年に彼が撮った2本の作品の日本公開が待たれる。生まれて初めてのロンドン旅行で、よもやアーセナルがボロ負けするとは……。しかも獲った1点はオウンゴール。とはいえ、2008年で最も何も考えずに熱狂した時間だった。
『ランジェ侯爵夫人』(ジャック・リヴェット) |
『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(ティム・バートン) |
『トウキョウソナタ』(黒沢清) |
『クリスマス・ストーリー』(アルノー・デプレシャン) |
『アルテミスの膝』(ジャン=マリー・ストローブ) |
見た順番に。奇跡的な実現であるだろう東京日仏学院でのリヴェット全作上映をはじめ様々なレトロスペクティヴに導かれながら、映画の「フィクション」とはいったい何なのかとぼんやり考え続けた1年でした。この5本のフィルムはその問いに対する新しい知見を与えてくれた作品の中から選んでいます。
画昨年のイヴに発売されたこの傑作について何か書きたい書きたい、と思い、試みながら年が明けて1カ月がたってしまいました……反省。しかし本当に素晴らしい作品で、5曲目の「what I thought while I was watching a baseball game on TV」は聴くたびに理由もなく目元に涙が滲んでしまいます。
リヴェットの『デュエル』でもピアノを弾いているジャン・ヴィエネールの貴重なラジオからの録音音源集。HMVの通販でも手に入ると知って早速注文すると1週間もせずに届きました。フリーなインプロではなく、クラシックの文脈の内部でズレが巧みに織り込まれていて、しかし重厚ではなくひたすらに軽やかなタッチ。音源自体の数が非常に少ない人なのですが、少しずつ集めていきたいと思っています。
「小説をめぐって」シリーズ最終巻。これが発売されてからまとめて全部読みましたが、きわめて誠実な「小説論」であるがゆえに、論じる対象を「小説」というカテゴリからどんどん逸脱していくプロセス。それはあらゆる表現行為に通じるものであり、そしてその逸脱こそが保坂和志の小説を貫く最大の要素なのだと考えさせられました。
「メガノベルブーム」というものがはたして本当にあるのかないのか、文芸事情に本当に疎い私にはあまり実感がないのですが、その入り口にと読んでみた本作はたしかに壮絶な作品なのでした。しかし上下巻であるこの小説の本質は、やはり上巻の推理合戦にあり、そこでの延々と「論理」だけが原因と結果を宙づりにして蠢き変態していく様には戦慄させられることばかりだったのですが、どうにも下巻での「解決」がしっくりこなかったため、あえて(上)のみ。しかし『好き好き大好き超愛してる』や『九十九十九』でも感じられたことなのですが、舞城王太郎と保坂和志は完全に読者層が異なるはずなのに本質的なところで通底している作家なのではないかという気にさせられるところがあって、それは非常に興味深いところです。
イノウのライヴは今年3回くらい見てるんじゃないかと思うんですが、圧倒的な出来だったのはこの日。山中湖での野外フェスイヴェントで2番目の規模のステージに昼頃登場の予定が、渋滞によって時間通りに到着できず、解決策として一番小さなステージでしかもトリの後に20分だけ、という最悪なコンディション。しかし、やっぱりこういう逆境こそ彼らの真骨頂(と言うと怒られてしまいそうですが……)で、自分が見た限り過去最高にパンクでヤケクソなイノウでした。ライヴアルバムを是非リリースしてほしいものです。
『アキレスと亀』(北野武) |
『きつね大回転』(片桐絵梨子) |
『殺しのはらわた』(篠崎誠) |
『ジャンパー』(ダグ・リーマン) |
『つぐない』(ジョー・ライト) |
上から藝術のはらわた、愛のはらわた、殺しのはらわた、テクノロジーのはらわた、少女のはらわた。
念願の初体験。ヒロポン打つならこれを見ろ。
エロすぎます。
19歳のトラウマ。
あの時期こんな恋に憧れました。
自身の監督作です。70年代驚愕の傑作。
出口なし、です。
『クリスマス・ストーリー』アルノー・デプレシャン(フランス) |
『アンナと過ごした4日間』イエジー・スコリモフスキ(ポーランド/フランス) |
『イースタン・プロミス』デヴィッド・クローネンバーグ(イギリス/カナダ/アメリカ) |
『コッポラの胡蝶の夢』フランシス・フォード・コッポラ(アメリカ/ドイツ/イタリア/フランス/ルーマニア) |
『ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン』ホウ・シャオシェン(フランス) |
とりあえずいま目の前にあるものの中から選ばせていただきました。買い物ベスト5(買った順に)。
このモニターのすごいところは、「A4タテ」がスクロールなしのほぼ実寸で表示できるところです。だが「A4タテ」という判型のデザインをする機会は今までのところあまりない。
新潟県燕市が世界に誇る包丁メーカーによる柳刃。これで釣った魚を薄造りにしようと思っていたが、薄造りにするような魚はなかなか釣れません。最近湘南で座布団のようなヒラメが揚がっているらしい。
空気清浄機。佇まいがよい。
本誌カメラマン・鈴木が遠方へ行っているあいだ、撮影に駆り出される機会が何度かあった。ライブ撮影では望遠レンズがないと(私の場合)話にならないのでこれを購入。ところでカメラ・レンズにメーカー間の互換性がないのは顧客を囲い込むためなのだろうが、そんなことをしているダサい業界は、今どき携帯電話の通信事業者とカメラ・メーカーくらいのものだと早く気づいてほしい。
自室で聴く音にどの程度のものを求めるか。私はこれ以上の音はライヴ・ハウスやコンサート・ホールに委ねればいいと考える。
1. | 『ホウ・シャオシェンの レッド・バルーン』(ホウ・シャオシェン) |
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2. | 『コロッサル・ユース』(ペドロ・コスタ) |
3. | 『トウキョウソナタ』(黒沢 清) |
4. | 『ぐるりのこと。』(橋口亮輔) |
2009年に随分ずれ込んでしまったので、2008年度ということで最後に間もなく封切りの『チェンジリング』を。
音楽 | にせんねんもんだい |
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人 | 水村美苗 |
本 | 中原昌也 作業日誌 2004→2007 |
彼/彼女らの、そのひたむきな作業ぶりに、まったく、頭が上がりません。真面目な仕事は、必定真面目な人生を紡ぎます。そうで在りにくいのもまた、間違いないのだけれど。
1. | 『トウキョウソナタ』(黒沢 清) |
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2. | 『コッポラの胡蝶の夢』(フランシス・フォード・コッポラ) |
3. | 『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』(ジョージ・A・ロメロ) |
4. | 『PASSION』(濱口竜介) |
5. | 『ランボー最後の戦場』(シルヴェスター・スタローン)、『ポストマン』(今井和久) |
他に、映画祭・特集上映からは『アンナと過ごした四日間』『シルビアのいる街で』『いつも明日がある』『アウトワン』。青山真治『赤ずきん』字幕付きでの再見を心待ちにする。あと来年入れるのを忘れないように、エリック・ロメール『我が至上の愛 アストレとセラドン』。
1920年代後半に書かれた幾つかの小説を「今年」の小説として読んだ。
ハメット自身が目撃したリンチ事件をもとにして書かれたというこの作品には、「そこで死んでいたのは彼ではなくわたしだっったのかもしれない」と言う感覚が端々から漲っている。『トウキョウソナタ』を見て、なぜかハメットの諸作を思い浮かべた。
2007年にパスカル・フェランが来日した際、この本の現代性について語っていたのを思い出す。あらゆる登場人物が、戦争や資本に打ちのめされ、身体の一部をもぎ取られている。
前年に出た「ブラウン神父アメリカ版」とでも言うべき『ブラウン神父の不信』(禁酒法や私刑への言及がある)でもよかったのだが、ある種現代の哲学書の域にまで達しているこちらの作品を。
寄席落語が始まった文化時代から上演されていた生粋の江戸落語であり、はたしてこれが1920年代に高座にかけられていたのかどうかは定かではない。しかし昭和10年代に「禁種落語五十三種」が指定され落語家が上演を自粛するまでは、官憲の目を盗んで上演されていたはずである。社会の底辺にあるカップルによるリマリエッジ・コメディ。
これは1920年代後半の作品ではない。しかしこれこそ2008年のアカデミー賞作品賞にふさわしい。
『テラビシアにかける橋』(ガボア・クスポ) |
『ぐるりのこと。』(橋口亮輔) |
『噂のアゲメンに恋をした』(マーク・ヘルフリッチ) |
『ハプニング』(M・ナイト・シャマラン) |
『トルパン』(セルゲイ・ドヴォルツェヴォイ) |
例年通りみた順に並んでいます。あとは思いつくままに長嶋一茂主演『ポストマン』東京国際映画祭でみた『私のマジック』『アンナと過ごした4日間』旧作ですが『大人のオモチャ ダッチワイフ・レポート』なども挙げたいです。今年はアメリカ映画を特にたくさん見たので俳優についてもベストをあげたくなりました。いかにもな選択ですけども。
今年もいくつもの特集上映がありましたけれども、ひとつあげるとすればこれです。寄せられたいくつものコメント、豪華なトークゲスト、そして連日満員立ち見の場内。一度お会いしたことがあるんですけれども、光石さんの人柄の良さがそのまま出たかのような特集上映でした。30周年おめでとうございました。
もう10年近く東京にいるのでハードとしての東京を見直そうということで「ひとりハトバスツアー」と自分で呼ぶ遊びをこっそり始めました。やることは路線バスで東京の観光名所を巡ること。それで平和島競艇場にも行ったし、水上バスにも乗ったし、レインボーブリッジを歩いて渡ったりしました。そのなかで一番おもしろかったバスです。新宿から青山、広尾を経由して品川行き。バスの醍醐味は大通りから突然通行人とすれ違うのも困難な細い路地に入ったりすることですね。
その「ひとりハトバスツアー」のガイドとなってくれたのがこの本です。『大人のオモチャ ダッチワイフ・レポート』をみた後の阿佐ヶ谷の古本屋でみつけました。小津も裕次郎もあとつまらない映画も同列に扱われているのが逆に良いです。でも、ここに載っている飛鳥山公園の回転式展望台も浅草の仁丹塔ももうないんですよね。
青春ラブコメスポ根書道漫画。書道だと思って偏見をもつことなかれ。書道部員も恋もすれば、他校とも競い合い、立派に青春をするのである。書道がこんなにおもしろいものだとは思わなかったです。
渋谷とか新宿とかそういうところほどどこで食事をすればいいのかいつも困るんですけど、もう池袋ならここです。安い、うまい、はやい。注文して5分で揚げたてのアジフライやメンチカツが出てきます。サクサクでジューシーです。