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December 2, 2022

『In-Mates』飯山由貴
鈴木史

 暗い画面が俄かに明るんでゆく。しかしその明るさは、あくまで仄暗いトンネルを照らすために点在する電灯によってもたらされたもので、延々と続くかに思える長い長いトンネルのなかを照らし出すには心許ない。遥か遠くで、警告のようなアナウンスがこだましているが、声が言葉としての像を結ぶ以前に、そのアナウンスはトンネルのなかの反響として消えてゆき、なにを語ろうとしているのか聞き取ることはできない。同じように、声...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 5:07 PM

July 21, 2013

フレデリック・パルド展 Frédéric Pardo Oeuvres choisies, 1966-1998
槻舘南菜子

《画家の友人。僕は長い間、絵画と映画の間で迷っていた。フレデリック・パルド、ロマン主義を継承した古典的であり、現実主義の画家。僕の友人であり、僕がもし画家として仕事をしていたら実現したかったであろうことをまさしくそのままに体現してしまう人物。 フレデリックの絵画は本当に偉大だ。彼は主題に彼の友人、愛した女性を選ぶ。それは空想に属する表層的な装飾を背景にあらわれてくるだろう。飾り気のない偉大さ、まさ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:57 PM

January 23, 2008

『人のセックスを笑うな』井口奈己
梅本洋一

 山崎ナオコーラの原作をぼくは読んでいない。だから原作と比較してどーのこーのとは言えない。でも、このフィルムは大好きだ。快晴の田園地帯を2両編成の電車が走り、遠くに山々が霞んで見える風景の中に住む登場人物たちの話だ。19歳の美術学校の生徒「みるめ」と、39歳のその学校のリトグラフの先生「ゆり」の恋物語だ。 「ゆり」が詳細にリトグラフを作るプロセスがいい。「みるめ」が「ゆり」の指導でリトグラフを作...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 4:15 PM

November 16, 2007

『摩天楼』キング・ヴィダー
田中竜輔

 TSUTAYAをふらふらと散策していると、なんとなくこのタイトルが目につき、手に取ってみて初めてキング・ヴィダーのフィルムであることを知った。今年の2月にDVDがリリースされていたようだ。ヴィダーのフィルムの中でもこの作品は決して頻繁に耳にするタイトルではない。ためしにネットで検索してみると、映画の内容以上に、主演のゲイリー・クーパーとヒロインのパトリシア・ニールが熱烈な不倫関係を結んだというス...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:01 PM

August 11, 2007

原爆は物語を拒絶する ——〈東京日仏学院での対話録〉
舩橋 淳

 8月4日、広島原爆投下の2日前、長崎原爆投下の5日前に、「映画においてヒロシマを表象することの不可能性を超えて」と題される座談会が東京日仏学院で開催された。オペラ「蝶々夫人」のメーキングビデオ、『吉田喜重 オペラ「マダム・バタフライ」と出会う』上映に続き、ミシェル・ポマレッド氏、吉田喜重監督、岡田茉莉子氏、青山真治監督によるトーク。鋭利な知性が集った濃密な時間であった。ここではその内容を紹介する...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 4:03 PM

July 29, 2007

『囚人のジレンマ』リチャード・パワーズ
結城秀勇

 冒頭に引用されているフランク・キャプラ『素晴らしき哉、人生!』のジェームス・スチュアート=ジョージ・ベイリーと同様に、男ふたり女ふたりの子供たちを持った男にまつわる物語である。この作品の前作『舞踏会に向かう三人の農夫』同様、時系列の異なる3つのパートが絡み合いながら進むという形式を持っているが、この作品が書かれた(80年代末期という)時代を前作よりも濃厚に感じさせる。それは物語上の問題として、実...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 9:20 PM

July 17, 2007

『ザ・フューチャー・イズ・アンリトゥン』V.A.
結城秀勇

 今年9月に公開予定の映画(邦題『LONDON CALLING/ライフ・オブ・ジョー・ストラマー』)のサントラである。『レッツ・ロック・アゲイン』『VIVA JOE STRUMMER』などストラマーの死後、彼についての何本かの映画が公開されている。正直、またか、と思わないでもないが、この映画に少なくともひとつの見るに値する部分があるとすれば、それはジョー・ストラマーの声をもとに彼の人生を再構成して...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 6:34 PM

June 25, 2007

トライネイションズ:スプリングボクス対オールブラックス 22-26、PNC:ジャパン対ジュニア・オールブラックス 3-51
梅本洋一

 対イングランド戦、ワラビーズ戦を見て、秘かにスプリングボクスの勝利を期待したのだが、オールブラックスはやはり老練だった。前半こそラッシュしてくるスプリングボクスにタジタジの様相だったが、後半になると徐々にイーヴンに持っていき、力勝負に拘っていたスプリングボクスの疲労を待ち、最後に突き放す。オールブラックスというのは本当に懐の深いチームだ。ゆっくりと受け止めて、最初こそスプリングボクスの気迫溢れる...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:08 AM

June 17, 2007

『sky blue sky』Wilco
鈴木淳哉

 新作のリリースを聞いて嬉しくなるようなバンドが年々少なくなっていく。そんな思いは誰にでも共通していることかもしれないが、私にとってwilcoはそんな数少ないバンドのひとつだ。  このバンドにぞっこん参ったのはジム・オルークによってプロデュースされた前2作を聞いてだった。だからバンド名義のセルフプロデュースである今作を聞いてまず思ったのは、やはり前2作をジム・オルークというフィルター越しに聞いてい...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:45 PM

June 15, 2007

Ashes and snow展(グレゴリー・コルベール)@ノマディック美術館
梅本洋一

 一枚一枚の写真──巨大な和紙の上に印刷している──やそのコンセプト──象など動物や魚と「人間」の文字通りの「触れあい」によって自然との共生をはかる──がPCとして正しいのだが、グレゴリー・コルベールによるこうしたインスタレーションには、余り興味が持てない。ぼくが、この展覧会に赴いたのは、その内容ではなく、坂茂がお台場に「仮構」したノマディック美術館を見るためだ。巨大なコンテナが積まれ、それを構造...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 11:45 PM

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