バイト先にやよいさんという方が来ていた。やよいさんは7days cardというポストカードを作っているひとで開店当初から月に一度販売数を調べにやってくる。私なんかよりずっとこのお店と付き合いが長いわけだ。そんな彼女とは暇な時はおしゃべりをし、忙しい時は店員でもないのにお客さんからの問い合わせに答えてくれていたりする。やよいさんは「大きいところは買い切りで納品しているだけだけど、月に一度こうして直接お店に来るのは私にとってもとてもよいことなの」と、ポストカードを一枚一枚数えながら言う。
nobodyは各号によって売れるお店が全然違う。例えば2号は日仏がだんとつだし、3号はABCなんかの大手。そして4号は先号全然だめだった映画館なんかが好調というような具合。もちろんnobodyのようにあるひとつのジャンルだけを扱っているのではない雑誌にとって、各号により向き不向きがあるのは当然なのだけれども、それゆえに営業は予想が付かない。これもまだまだ修行が足りないといったところ。私たちにできることは足しげくお店に行って売れ行きをチェックし、こまめに納品することだ。それにいろんなお店でどんな本や雑誌の隣に置かれているのかというのを見て回るのは、そのお店の人がnobodyをどう見るかということを一番ダイレクトに示していて結構楽しい。そして私たちが本屋さんや映画館、ライヴに行ったりして新たな回路を発見するように、思わぬ所でnobodyと出会って何かを見つけられるような入り口をできるだけ広くしていたい。そんなことをやよいさんとお話しながら改めて実感した。
中根理英