「オレもうダメかもしんない」。半年前から一人暮らしを始めた友人が迎える初の冬は、深夜2時の少し眠い私に電話をかけさせた。んなこと知るかっ。寒けりゃファミレス行けっ。まあ結局彼は無事でしたが。
次号の特集のひとつに「同潤会アパート」(「表参道」)を企画した我々は、そんな寒さにも関わらず夕方5時半からフィールドワーク。絶対昼にしようと決めてたのに、ついつい。といっても、歩いて見て聞いて匂って食った、それだけといえばそれだけです。明確なコンセプトは固まらず。
ただ、なぜ表参道とその周辺のショップがここまで閉じてるのか、ホントに疑問。あんなにガラスばかりで、店内も透けて見えるのに。全くファサードの機能を果たしていない。デパートのショップひとつひとつを隈なく見て歩いて触るのは好きだけど、この「表参道」デパートを隈なくチェックする気は全く起らない。他の客たちの問題でしょうか。とにかく逆に、我々の記憶を働かすのは小さな看板や文字だったりするの。
ヴィトンを筆頭とした光の塊とケヤキが立ち並ぶ、夕方6時の歩道橋からの眺め。もちろん堪能したが、はて、表参道って、視線と歩行とを全く乖離させる場所じゃないのか。ふと頭をよぎる。
つまりだ。ケヤキって、遊歩者には邪魔じゃないか?
松井宏