journal

« June 2024 | メイン | August 2024 »

<< Previous  1  |  2  | 全部読む

『蛇の道』黒沢清

[ cinema ]

 冒頭、白色の建築物に囲まれた石畳に立ち、カメラに背を向け遠くを見つめている新島小夜子(柴咲コウ)。彼女を見下ろすように構えられていたカメラがクレーンによって徐々に人間のアイ・レベルまで下がってきたとき、フレーム内にピタッと小夜子を捉える。このように『蛇の道』は、滑らかなカメラワークとフレーム内に捉えられた人物の所在を以て始まる。ただしこの物語は、カメラと人物(あるいは事物)とのある一定の距離を保...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:56 AM

July 5, 2024

『クイーン・オブ・ダイヤモンド』ニナ・メンケス

[ cinema ]

 血のように真っ赤なネイル、カード台の前で腕組みをして佇む女性、その女性が半裸の状態で寝たきりの老人を介護する。固定のカメラは冒頭からラスベガスで生活するフィルダウス(ティンカ・メンケス)を映し出し、それに続いて、外壁が赤と緑の平家、地面から多方向に伸びる植物、磔にされたキリストを逆さにして運ぶカーニバルの人々といった、彼女の生活を囲う風景が美しい画面構成で捉えられる。映画全体を通して主観を排した...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:43 PM

July 1, 2024

『アイアンクロー』ショーン・ダーキン

[ cinema ]

 ただの「肉の指」に過ぎないものを「鉄の爪」だと言い張り、あたかも本当に「鉄の爪」であるかのように振る舞う。それこそが言わば、プロレスの矜持そのものなのかもしれず、だからこそ元祖「アイアンクロー」フリッツ・フォン・エリック(ホルト・マッキャラニー)は、何度も何度も息子たち「フォン・エリック・ファミリー」に「proud」という言葉を投げかけるのだろう。  しかし、兄弟の中で最年長であるケビン(ザック...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:27 AM

<< Previous 全部読む |  1  |  2