『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』ガブリエーレ・マイネッティ監督インタビュー
自分の中にヒーローを持つということ
『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』は、アニメや漫画、映画──空想世界──の中のヒーローを童心のままに信じ続けてきたギークによるヒーロー映画だ。本国イタリアでは久しく作られてこなかったジャンルではあるが、アニメを通して日本文化に慣れ親しんで育ってきたガブリエーレ・マイネッティにとって、真のヒーローとは「優れた能力」だけでなく、「秀でた勇気の持ち主」のことであると言う。
マイネッティにとって、勇気とは空想する力に支えられたものであるに違いない。故に、彼は辛く厳しい環境下でさえ奔放に空想する力を失わない人々を描くだろう。その意味で、過酷な現実から永井豪のアニメ『鋼鉄ジーグ』の空想世界に逃げ込んだ本作のヒロインが、超人的な力を手に入れた厭世的なゴロツキに生きる意味を与える姿はとりわけ印象的だ。ここではユニークな形であれ、ギークの信念が表されている。ヒーローへの狂信的なまでのある種の信仰が、人に再び夢を信じさせるのである。
私たちが憧れのヒーローが描かれた服を身につけたり、ポスターを貼ったりすること、あるいはフィギュアを持つことは何も無益なポーズなどではない。そのようにして自分のヒーローとどこかで関係を持つことは、私たちの内にある勇敢さやバイタリティを見出すことなのだ。
——原題『Lo chiamavano Jeeg Robot(英題『They Call Me Jeeg Robot』)』は、1970年のイタリア映画『風来坊/花と夕日とライフルと…(原題『Lo chiamavano Trinità…』/英題『They Call Me Trinity』)』(E・B・クラッチャー)からもじったネーミングだそうですね。
ガブリエーレ・マイネッティ(以下GM):ありがとうございます。まったくその通りです。