イメージは必ず超えられていく
『夏の娘たち~ひめごと~』
監督・堀禎一&主演・西山真来 interview
『夏の娘たち 〜ひめごと〜』
「あなたに見つめられると、わたしは少女に戻ってしまう…」。シーラ・Eがプリンスに捧げた「Girl meets Boy」の一節の「引用」に始まる『夏の娘たち』を、人はどのような作品だと形容できるだろうか。あるふたつの「イエ」の間に揺れるあるひとりの女性の物語、あるいはあるひとりの女性をめぐるその周囲の人々の物語、もしくはひとつの土地のひとつの季節を数十年や数百年という歴史のただなかに見つめようとする神々の物語とも言えよう。いずれにせよ、『夏の娘たち』はきわめて雄大な作品であり、そして同時にきわめて密やかな関係へと観客を誘うフィルムだ。その創造にはいかなる過程があったのか。監督・堀禎一、そしてこのフィルムの主人公である直美役を務めた女優・西山真来に、この作品とともに過ごした夏の数日について話を聞いた。
2017年7月18日午前、インタヴューにご協力くださいました堀禎一監督が急逝されました。
謹んでお悔やみを申し上げますとともに、心から哀悼の意を捧げます。
NOBODY編集部一同
言葉は言葉としてあれば伝わる
——まず、今回の企画がどのように始まったのかについてお話し頂けますか?
堀禎一:『魔法少女は忘れない』のあとに、一度改めて映画と自分の関係を見直したいと考えていまして、それがこの作品の前に撮った「天竜区」シリーズだったんです。で、この作品の作業がひと段落したころに「R-15で一本撮ってみないか」というお話を頂きまして、非常にタイミングが良かったので「ぜひやらせてください」と返事をして、まず脚本家の尾上史高くんに話をしました。「何かやりたいことある?」って聞いたところ、少し前に企画が通らなかった脚本があると返事があって、それを見せてもらったら面白かった(笑)。それを骨子だけ用いることにして、ふたりで設定も物語も変えていくことになりました。