02.09/18

 

 乃木坂ギャラリ−・間にて「この先の建築」展。25人の建築家がこの先の建築を考える作品を提出し、それが5*5のグリッド状に配置されているというもの。上の階ではその作者達へのインタヴューが収められたビデオが流れている。作品の多くは模型であるのだが、中には本や映像からガチャガチャまであり、ひとつひとつの模型のスケールがまったくてんでバラバラなので、整然と配置され秩序だった外見とはうらはらに内容はだいぶアナーキーなものだ。そのひとつひとつについて細かく言及することはできないが、曽我部昌史の作品は、一見おもちゃ屋の店先で見かける百円玉をいれてガチャガチャとやるアレなのだが、実はそのものズバリであるという「ガチャマ」である。中には14種類の計画のいずれかの家の製作に必要な道具が入っている。「中からあるシステムを伴った便利な道具が出てくる未来の機械」から、あるネコ型ロボットを思い浮かべてしまった。対して西沢立衛の、長家という共同の空間を不均等に分配する彎曲した壁や、妹島和代の模型に張られた壁紙の、吹き抜けの2階3階を埋め尽くす本のイメージ。西沢の例えを用いれば、こちらはオバQである。やり方と道具を用意してくれてその通りにやれば本にさえ載るという曽我部のキャッチーさと親切の一方で、「この先の建築とは?」という質問に「わからない」「むずかしい」とだけ答え、他の人々よりも驚異的な短さでインタヴューを終える妹島と西沢の苦笑は、キュートだがどこかブキミだ。のび太くんのように道具の使い方を間違えば、「この先の建築」はできるかもしれない。ただ、オバQのほうがもっとおっちょこちょいだ。

結城秀勇

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