風邪気味だったところに、朝から雨だったので、予定より2時間多く寝る。のっけから私の本日の予定は大幅な変更が必要となった。とりあえず、ギャラリー・間シンポジウム「この先の建築」のために建築家会館へ。西沢立衛は、現代の建築家が作ろうとする建築の「弱さ」を天気予報のようなもの、と形容する。その瞬間瞬間はスタティックな予報図から見出される「この先の」天気は、30分後、1時間後の時点の予報図ではダイナミックな変化が起こっている可能性がある。ある一点を取り出せばそこには確立された構造があるが、それは必ずしもはじめから最後まで通底する「強い」ものではなくてもかまわない、変化の可能性である「弱さ」。そういうようなことを言っていた。シンポジウムが終わると、朝っぱらから私を苛んだ雨は降っていなかった。絶えず現在の雲のかたちの幾何学を見て取ること、をさっそく実践した私は持ってきた傘を千駄ヶ谷の駅に置き去りにして新宿へ向かった。ただ惜しむらくは、この日の討論は私に天気予報のダイナミスムを見せてくれるような「弱さ」をちっとも持っていなかったのだ。
結城秀勇
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