02.09/29

 

 先週東京を離れていたので、週末は雑誌4号の追加分を納品してまわった(有り難いことです)。さて、先週は東京を離れてどこにいたかというと、故郷・福岡に宣伝、営業のために帰省していたのだった。そういうことになったそもそものきっかけは、天神FMというローカル局で福岡の学生の方々がやっている「.F(ドット・エフ)」なるラジオ番組にゲストとして招いてもらったからで、せっかく宣伝するのだからと、ついでに九州大学やギャラリー、ミニシアターに営業して回った。
 ところでそのラジオでかけてもらうために、福岡ということで、福岡出身のパニック・スマイルというバンドの曲を持って行ったら、パーソナリティの方々がえらく喜んでくれて少し驚いた。パニック・スマイルはいいバンドなのだが、決して有名なバンドではないから。他の地元出身及び在住のバンドについても詳しくて、ひょっとして福岡出身のミュージシャンが多いのは、まず地元のメディアによるサポートが徹底しているというのも要因なのかもしれぬと思う。まあこれは福岡に限ったことではないが、やはり東京では今こういう状況はほとんどないのではないだろうか(だからそういった意味では、東京出身のミュージシャンは実は不遇なのかもしれない)。
 一方で福岡の都心の構造は東京と類似する部分があって、福岡の都心は天神と博多に大きく二分されるが、東京において「盛り場」が新宿→渋谷と移行したように、博多→天神と移行している。そして大きいデパート、ファッションビルで形成される天神の裏通りに近年昔ながらの商店に代わってオシャレ服屋が軒を連ねるようになったのも、まるで原宿のようだ。ただ大きく異なるのは、新宿の歌舞伎町的な場所(コミュニティ)が渋谷にはない(円山町はちょっと違うし)のに対し、福岡は博多・中州に対峙する場所が天神にはもとからあったということ。その名も「親不孝通り」という。どうってことない話ではあるが、これは前述したことと結構関わりがあるような気もする。そして、新宿のことを考える上でも。そう言えば自称新宿系、椎名林檎は中洲ではなく天神界隈で歌い始めたらしいが…。

黒岩幹子

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