久々の休みは、次号のレイアウト作業に向けての体力作りの日と決めた。区民プールへ行ってくたくたになるまで泳いで、目黒のタイ大使館で開かれた「タイ・ヌードル・デイ」苦しくなるまで食べるコース。毎号のレイアウト作業は徹夜続きで体がボロボロになるだけではなくて、自分の頭の中でぐるぐる回っているnobodyの人間や外部の方の文章や言葉をつなげていく
過程が、楽しくもあるのだが、精神的にも結構疲れる。
そんなささやかな不安とは裏腹に「タイ・ヌードル・デイ」(http://www.thaiembassy.jp/)は大盛況である。東京近郊の十数店のタイ料理店が閑静な大使館の敷地内で屋台を開くイベント。どういった類の人が多く来ているのか、全く想像がつかないほど多種多様なお客さんが屋台の前で列をなしている。この人たちはどこでどうやってこの情報を知ったのだろうか。ちょっと他では味わえない、異様な雰囲気だ。
ある場所が、その時代の大きな流れの磁場となり得るなんてことを、私達は経験したことがない。68年の新宿にはどんな空気が流れていたのか、私達は直接知ることは出来ない。
「三角形をつくる角は、線と線で区切られた場所のことで、それは頂点ともいい、交わりともいう」。『ゴダールのマリア』で別居中の父親はマリーにそう教えた。その時代の頂点であり、さまざまな人々が交わったであろう68年の新宿という場所。それを巡る多くの言葉を再度交わらせるためのレイアウト作業はやはり簡単ではなさそうで、美味しいものを食べてお腹はいっぱいだが、また少しだけ不安になった。
三宅晶子