朝9時前に渋谷駅に着く。晴れ。コーヒー屋で朝御飯を食べながら、今日のインタヴューの予習。「シアタープロダクツ」は武内昭、中西妙佳、金森香の3人が去年の10月に設立したアパレルメーカーだ(http://www.theatreproducts.co.jp/)。nobodyのサイトでも藤原徹平さんがジャーナルに書いてくれている。「確かに武内昭、中西妙佳、金森香の3人は、過剰なまでに「振る舞う」わけで、それは「劇団」と呼ぶにふさわしいのだけれど、彼らの服を買った貴方も、彼らが服に仕込んだ仕掛けによって、確実に「振る舞う」ことになるはずで、そのとき貴方は、その貴方の「振る舞い」が事態のささやかだが決定的な変貌を生みだしてしまっていることに気づくはずだ」。過去一年、「シアタープロダクツ」の活動の多様性は、この「振る舞い」を如何に演出するかという意図で貫かれているように思う。服を作ることと、服を買うことと、服を着ることと、服が「シアタープロダクツ」=「劇場生産」であることにどこまで意識的でいられるかが、その活動には賭けられている。10時過ぎに青山のリトルモアギャラリーへ。青山通りをテクテク歩く。11時からのインタヴューは約一時間。武内さんは半年だけ自衛隊にいたことがあるらしい。「なんで自衛隊に入ったんですか?」。「これ言うとみんな引くんですけど。・・・パイロットになりたかった」。元パイロット志望、現ファッションデザイナー、脈絡がなさそうでありそうで微妙な感じがとてもよい。インタヴューが終り、渋谷へ帰る途中、突然買い物がしたくなって代官山まで歩いた。最近ますますディズニーランド化が著しい代官山だが、それでも以前から続いている店は結構しぶとく残っている。一時間ほど見てまわって、結局ジャケットを買った。青山と渋谷と代官山と、シアタープロダクツがそのうち直営店を持つとして、それができるのはどこだろう。その店は街を歩く人たちの「振る舞い」をどのように顕在化させるのだろうか?どうせなら代官山アドレスの前にドーンとできると面白いな。そんなことを考えながら、また渋谷戻った。
志賀謙太