――「第5回恵比寿映像祭」を終え、インディペンデントアニメーションレーベルである「CALF」(※2)の第2期が始まりました。創立メンバーである水江さんは、今後「CALF」から離れてご活動をされていくのですか?
水江「CALF」の運営自体からは離れますが、『WONDER』の制作と配給は「CALF」でやっています。その辺は一緒に進めていくんですけども、その他にも色々な場面で一緒にやっていく機会はあると思います。でも僕個人としてはCALFという活動以外に、たとえば「TOKYO ANIMA!」っていう短編アニメーションのイベントを年に2回やっていたり、個人で色々と挑戦をしていきたいこともあります。4月は引越しもして制作の環境も変えたから。今はそういうところですかね。
――今後は川崎市にアトリエを構えて作業をしていくということで。
水江そうですね。
――そもそも、川崎市を選んだ理由は何だったのでしょうか。
水江色々あったんですが、前住んでた埼玉はメインで教えている学校に通勤するには便利なんですけど、それ以外にはかなり不便で(笑)。多摩美術大学でも教えていて今年から授業のコマ数が増えるということもあって、もうちょっと多摩美に近い八王子寄りのほうに行かないといけないなと。あとは制作のスタイルを変えてスタッフワークで作品を作っていきたいって考えると、そのスタッフが集まりやすい場所にちょっと自分が移動しないといけないなというのがあったので。あとは何でしょうかね……せっかく引っ越して来たんでね、川崎市市民ミュージアム(川崎市中原区)でまた何かできればいいかなと思いますね。
――去年は川崎市市民ミュージアムにて夏休みの子どもたちを対象に、アニメーションのワークショップを開いてらっしゃいました。子どもたちもすごく楽しそうでした。私も少し手伝わせてもらいましたが、なかには自分の描いた絵に吹き出しを設けて、アニメーションとは知らずその中に言葉を書いてしまった子もいたり(笑)。
水江 (その字を)読ませるためにこっちが気をつけて編集しないといけないっていう(笑)。
――面白い経験をさせてもらいましたし、施設も近くにあるのでぜひぜひという感じですね。
水江 そうですね。すぐ行けちゃう距離ですから。やっぱり色んな人とコラボレーションをして、色んな人と協力し合って活動したいなというのもあって川崎市のほうに出てきたっていうのはありますね。それまで埼玉に住んでた理由っていうのは、要するに職場の近くに住んで、帰ったらすぐに制作をするためっていうような、それだけで選んでいたところがあったんです。だけど自分が大学院を出て6年目が終わって7年目になるんですけど、これからは作品を作るっていうことだけじゃなくて、たぶん作品は作るんです。だからそれをどういうふうに作っていくかっていう。誰と組んで作るかとか、どういう人と一緒にやっていくかっていう風にだんだん変わってきています。まだ企画段階なんですけど、今年も色々とコラボレーションしてやっていこうと考えているところですね、今。
※2 CALF アニメーション作家たちが自ら中心となって設立したインディーズレーベル。第1期創立時のメンバーは映像作家の大山慶、アニメーション作家の和田淳、水江未来、そしてアニメーション研究・評論の土居伸彰。「第5回恵比寿映像祭」での公開レクチャーを経て、新体制である第2期「CALF」がスタートする。
取材・構成=隈元博樹
写真=日野裕介