東北の、仙台の友人たちへ アルノー・デプレシャン

 

仙台のある映画館では、地震発生時に『クリスマス・ストーリー』が上映されていた。そのことをムヴィオラの武井さんからお聞きし、アルノーに伝えた。そして東北の映画館のネットワークの皆さんが、これからまた上映活動が始められるように、励ましのメッセージをもらった。 

 

親愛なる東北のみなさん、

仙台を地震が襲ったとき、『クリスマス・ストーリー』が上映されていたなんて! 配給会社のムヴィオラ代表、武井みゆきさんから観客の方、スタッフの方、みなさんがご無事だったと聞くことができました。映画館が避難場所のような場所であってほしいと常々願っており、毛布に温かく包まりながら、懐中電灯で自分たちの恐怖や欲望を映し出すような場所であると思っている僕にとって、なんだか目がくらむような出来事です!

親愛なる東北のみなさん、仙台のみなさん、そしてムヴィオラのスタッフのみなさん、僕は、毎日、この脆弱で、儚い世界を目にして、あなた方が私にとってどれほど大切であるか感じています。

いつか、夏の夕べ、東京、あるいは仙台の芝生の上で、あなた方の隣に座り、野外に設置された大きなスクリーンで日本の映画を見たいです。友人の坂本安美さんが耳元でそっと通訳してくれるでしょう。

そして日本のビールを飲みたい。

そして、そして、亡くなった方々を想いながら、僕は、あなた方と涙を流すでしょう。

 

2011年3月23日(月)

アルノー・デプレシャン