journal

メイン

<< previous next >>  1  |  2  |  3  |  4  |  5  |  6  |  7  |  8  |  9  |  10  |  11  |  12  |  13  |  14  |  15  |  16  |  17  |  18  |  19  |  20  |  21  |  22  |  23  |  24  | all

July 29, 2007

『囚人のジレンマ』リチャード・パワーズ
結城秀勇

 冒頭に引用されているフランク・キャプラ『素晴らしき哉、人生!』のジェームス・スチュアート=ジョージ・ベイリーと同様に、男ふたり女ふたりの子供たちを持った男にまつわる物語である。この作品の前作『舞踏会に向かう三人の農夫』同様、時系列の異なる3つのパートが絡み合いながら進むという形式を持っているが、この作品が書かれた(80年代末期という)時代を前作よりも濃厚に感じさせる。それは物語上の問題として、実...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 9:20 PM

July 9, 2007

『前巷説百物語』京極夏彦
結城秀勇

 直木賞を受賞した『後巷説百物語』に続く「巷説百物語」シリーズの最新刊では、前作までの時代設定を遡り、このシリーズの中心人物である「小股潜りの又市」が「御行」というキャラクターをいかにして獲得したかという物語が語られる。『バッドマン・ビギニング』『ハンニバル・ライジング』『007 カジノ・ロワイヤル』(2006年版)などを思い出してしまうような、ヒーロー誕生秘話。前作までは、裏の世界にその名を轟か...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:51 PM

July 5, 2007

『宿澤広朗 運を支配した男』加藤仁
梅本洋一

 このサイトにも宿澤広朗の追悼を書いたことがある(2006年6月17日)。そのときに「ジャパン対サモア戦のある日になんで登山に行ったのだろう」と文章を締めくくったことを覚えている。実際にラグビーをやっていたわけでもないのに、本業をできるだけ早く片付けてテレビの前に座って、何十年も観戦を続けているぼくよりも、「名選手にして名監督」だった宿澤は、ラグビーのゲーム──しかもジャパンのゲームだ──に関心を...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:48 PM

May 30, 2007

東浩紀×仲俣暁生『工学化する都市・生・文化』(「新潮」6月号)
梅本洋一

 荻野洋一のblogに掲載された文章に触発されて、ぼくもこの対談を読んでみた。それ以前に、東と北田暁大の『東京から考える──格差・郊外・ナショナリズム』(NHK出版)を読んだとき、非常に強く感じた違和をここでも考えてみたいと思ったからだ。ふたりが長い対談で交わした言葉たちをワンフレイズで要約するのは失礼だが、郊外のジャスコ化という現象には、誰でもが頷くだろう。しかし都市の変貌がそうした方向でいいも...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:15 AM

May 28, 2007

『イビチャ・オシムのサッカー世界を読み解く』西部謙司
渡辺進也

 先日、フクダ電子アリーナにジェフの試合を見に行った。現在下から三番目の順位をさまようチームにはかつてあったような躍動感もなく、度々中盤でパスミスをし、簡単に点を取られる。バイタルエリアまでボールを運べないし、シュートは打っても枠へと飛ばない。もうどこから手をつけたらいいかわからないくらい最悪の状態。すごく寂しい気持ちでスタジアムを後にしたのだが、帰り道に思ったのは確実にひとつのサイクルが終わった...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 4:08 PM

May 11, 2007

『楽しみと日々』 金井美恵子、金井久美子
槻舘南菜子

 金井美恵子の本を読むこと、それはまず帯をはずし、カバーをめくり上げることから始まる。だからたとえ文庫版の『タマや』が出版されたとしても、視線を合わせることなく横顔をこちらに向けるアンナ・カリーナが表紙のハードカバーの方が良いに決まっているし、そうでなければ彼女の本を読んだとは言えないのだ。彼女の刺激的で時に辛辣で正確な批評—それは五十年代ハリウッドから、エリック・ロメール、山田五十鈴の眼差しに、...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 11:48 AM

May 7, 2007

『越境の時──1960年代と在日』鈴木道彦
梅本洋一

 今から20年以上も前、ぼくは一冊の書物を買った。『異郷の季節』(みすず書房)である。著者は鈴木道彦。収められた10篇余りのエッセーのそれぞれが素晴らしかった。パリ滞在というぼく自身との共通項はもちろんあったのだが、それ以上に、鈴木道彦の過不足ない文章と極めて適切な表現に触れ、いつかこんな文章を書きたいものだと憧れを込めて読んだ。  ぼくもこの著者にパリで一度会ったことがある。鈴木道彦自身がそのこ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:24 AM

May 5, 2007

『わたしたちに許された特別な時間の終わり』岡田利規
梅本洋一

 斎藤美奈子の書評に誘われて岡田利規の『わたしたちに許された特別な時間の終わり』を読んだ。コケた映画を上映中の映画館で出会った男1と女1、女1は男1をライヴハウスに誘い、男1は男友達数人とライヴハウスに出かけるが、そこに女1はいない。そのライヴハウスでやっているのは、反戦系のパフォーマンス。そこで男1は女2に出会い、ふたりは渋谷のラブホで数日間を過ごす。2003年3月のこと。イラクの戦争がラブホに...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:41 AM

April 4, 2007

"TOKYO"マグナムが撮った東京@東京都写真美術館
梅本洋一

 マグナム創立60周年を記念して、東京都写真美術館で「マグナムが撮った東京」展が開催されている。第2次大戦後から現在に至るまでのマグナム所属の写真家たちの東京の映像がここに終結している。それぞれの写真家にはそれぞれのエクリチュールがあり、この時代は「写真家」というメティエが誕生してからすでに百年近い年月が経過しているのが感じられる。そして、写真家たちが一様に東京という、常に変化する街に好奇の眼差し...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:30 AM

April 1, 2007

『ゴーストライダー』マーク・スティーヴン・ジョンソン
月永理絵

『デアデビル』の監督による、『スパイダーマン』や『Xメン』と同じアメリカン・コミックが原作のヒーロー映画である。舞台は西部、主役は悪魔の手先となり悪魔と契約した人々の魂を集めるゴーストライダー。この役目をかつてはカウボーイがその役目を担っていたというから、馬の代わりにハーレーダビッドソンでテキサスを駆け抜けるニコラス・ケイジを現代のカウボーイと見なすこともできるだろう。  しかし、この映画を西部...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 11:02 AM

<< previous next >> all |  1  |  2  |  3  |  4  |  5  |  6  |  7  |  8  |  9  |  10  |  11  |  12  |  13  |  14  |  15  |  16  |  17  |  18  |  19  |  20  |  21  |  22  |  23  |  24