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September 3, 2011

『ゴーストライター』ロマン・ポランスキー
梅本洋一

 すでにこのフィルムについてはいろいろなことが語られている。ヒッチコック的な作品、堂々とした古典的な作品、流浪を余儀なくされたポランスキーの似姿……どれも当たっている。冒頭の豪雨の中、フェリーが港に着くシーンから、無駄なショットなどひとつもないし、見事な編集で見る者の関心を惹き付けて放さない。ヒッチコック的な分類に従えば、「巻き込まれ型」の物語。前任者の死によってイギリス前首相の二人目のゴーストラ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:52 PM

August 14, 2011

11-12プレミアリーグ開幕戦 ニューカッスル対アーセナル 0-0
梅本洋一

 昨シーズンの4-4のゲームが思い出される。前半の22分までに4-0とリードしながら後半のディアビの退場をきっかけに4点取られてドローになったゲームだ。アーセナルの転落のひとつの象徴だったゲーム。  そして今シーズンの開幕戦。問題を抱えながらの開幕戦だ。セスクとナスリの去就が決まっていない。おそら8月31日までにふたりはアーセナルを去るだろう。セスクはバルサでレギュラーの位置が得られるのだろうか?...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 11:58 PM

July 25, 2011

季刊「真夜中」2011 Early Autumn
結城秀勇

「真夜中」の最新号をぱらぱらめくっていて、ふたつの文章に真っ先に目がいった。全部読んでいないので特集全体に対するコメントではないのだが、最近考えていることも含め書いておこうと思った。ふたつの文章はどちらも、HIPHOPに関係していて、3月11日の地震に関係していて、人生に関係している。  目にとまった文章のひとつは、三宅唱によるラッパー・B.I.G.JOEへのインタヴューで、「とりかえしのつかな...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 5:41 PM

June 10, 2011

『まなざしの旅 土本典昭と大津幸四郎』代島治彦
萩野亮

「土本典昭お別れの会」のようすを映した冒頭、壇上の熊谷博子は、次の弔辞に立つ人物をこのように紹介する。 「土本さんの容態が少し悪くなり、皆さんが駆けつけたときがありました。土本さんは大津さんを見つけると、必死に起き上がろうとしながら、大津さんの手を強く握り締め、こう云いました。『ぼくはきみに会えて本当に幸せだった。きみのおかげでぼくの人生はゆたかなものに変わった』と」。  そうして前に立った大...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 8:57 AM

May 8, 2011

多木浩二追悼
梅本洋一

 新聞では震災や原発関連の記事ばかり読んでいたので、多木浩二さんが亡くなった記事を読み落としていた。さっき本屋で「新建築」を立ち読みしていたら、多木浩二さんが亡くなったという記事を見つけた。享年82歳とあった。  多木さんとは、『ベルリン:芸術と社会1910-1933』(E・ロータース、岩波書店、1995年)という翻訳書で一度だけお仕事を一緒にさせていただいた。お目にかかったのは、その仕事でお会い...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:29 AM

March 22, 2011

WBA対アーセナル 2-2
梅本洋一

 この2週間でカーリングカップ、チャンピオンズリーグ、FAカップという3つのタイトルを一気に失ったアーセナル……。なんだろうね。こんな書き出しは、毎年の恒例になっている感じ。思い出してみれば、アメリカ軍がイラクに侵攻した日の前日には確かヴァレンシアに敗れている。春先になるとアップアップのアーセナル。  始まりは、この週にヨーロッパで行われるどんなゲームでもそうであるように「東北大震災」への1分間の...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:38 AM

March 3, 2011

『作家と温泉 お湯から生まれた27の文学』草彅洋平=編
高木佑介

 エディトリアル・デザインを手掛けつつ、永井荷風や植草甚一をあしらったTシャツなどの「文豪グッズ」も作っている東京ピストル。そのデザイン会社が装幀やレイアウトを手掛けている『作家と温泉』(河出書房新社)なる書籍がちょっと前から発売されている。温泉ガイド本は書店の旅行コーナーなどどこでも売っているけれど、こういう「作家」と「温泉」にまつわるエピソードを集めた本は今まで読んだことがなかったので、それほ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:46 PM

November 7, 2010

『愛と憎しみの新宿──半径1キロの日本近代史』平井玄
梅本洋一

 あれは1982年か83年のことだったろうか、新宿2丁目の喫茶店で、今はもう存在しない書評紙の編集者と打ち合わせをしていた。「8面担当」と呼ばれていたその人は、書評紙の編集の仕事は「世を忍ぶ仮の姿」で、本業として「風の旅団」(と言ってももう誰も知らないだろうが、かなり有名で過激な劇団──もちろん「赤い旅団」からの命名だろう)の制作をやっていた。  その打ち合わせの最中、喫茶店の外を大きな荷台付きの...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 9:40 PM

October 18, 2010

『セゾン文化は何を夢みた』永江朗
梅本洋一

 辻井喬と上野千鶴子の対談本『ポスト消費社会のゆくえ』について書いたとき、ぼくは、「堤清二=辻井喬は「私の失敗でした」を片づけることが本書では多いけれど、その時代の検証は、まだまだこれからの作業であることはまちがいないだろう」と書評を結んだ。永江朗による労作『セゾン文化は何を夢みた』は、その「検証」の大きな成果のひとつだ。なにせ永江は、西武デパートの上層階にあった書店に勤務したし、その後の、彼の文...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 4:05 PM

September 28, 2010

『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』瀬田なつき
梅本洋一

 かつて、『女は女である』でジャン=クロード・ブリアリとアンナ・カリーナが住むアパルトマンには自転車が置いてあった。かつて、母娘に扮した桜田淳子と田畑智子は、相米慎二の『お引越し』で乗る電車の中で「ある日、森の中……」とクマさんの歌を唄った。黒沢清の『回路』でしばしば映るビルの屋上からは、東京の「意気地なしの風景」が映り込んでいた。映画には、そうした無数の「かつて」がある。映画的な記憶と呼ばれたこ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 11:54 PM

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