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May 5, 2020

『チワワは見ていた ポルノ女優と未亡人の秘密』ショーン・ベイカー
二井梓緒

 この映画のラスト、主人公のジェーンは、道路脇に停めた車で待つチワワと老女ーーセイディーーを二度振り向く。一度目のあと車窓越しに彼女を見つめていたセイディは視線をそっと正面へずらす。反射する太陽の光に包まれたジェーンは少し立ち止まった後、老女の待つ車へと歩いていく。このシーンはふたりの関係性が変わっていくことを示すが、その先は誰にも分からない。映画の最後に観客に与えられた解釈の自由は、『タンジェリ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:08 PM

May 2, 2020

『ギャスパール、結婚式へ行く』 アントニー・コルディエ
池田百花

 物語は、そのタイトルが示す通り、主人公の青年ギャスパールが父親の再婚の結婚式に出席するため、動物園を経営する実家に向かうところから始まる。旅の途中でローラという女性と出会った彼は、久々に再開する家族の手前、彼女に恋人のふりをしてほしいと半ば無理やり説得し、ふたりを乗せた電車は舞台となる動物園に向けて走り出す。ローラを演じるのは、『若い女』(2017、レオノール・セライユ)で強烈な魅力を放っていた...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 11:35 PM

April 30, 2020

『アンカット・ダイヤモンド』ベニー・サフディ、ジョシュ・サフディ
佐藤彩華

 ジョシュとベニーのサフディ兄弟は、今や米インディペンデント映画界で最も注目を集める重要な若手映画作家のひとり(ふたり)だ。ユダヤ教徒の家庭に生まれニューヨークで育ったふたりが、同じくユダヤ系のアダム・サンドラーを主演に迎えた新作『アンカット・ダイヤモンド』は、強烈なインパクトと狂気を孕んだ一作で、1/31にNetflixでリリースされてから日本でも評判が評判を呼んでいる。それもそのはず、2010...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:58 PM

April 28, 2020

『コジョーの埋葬』ブリッツ・バザウレ
池田百花

父のコジョーは7年間同じ夢を見た 夢では海が地を飲み込み炎が燃え盛っていた 父は誰にもこの夢のことを話さなかった それがただの夢ではなかったことも それはむしろ記憶のようなもので 忘れられない記憶のようなものだった  若い女性のモノローグによって誘われるのは、彼女が生まれる前、ある辛い出来事を経験し心に傷を負った父が引っ越して来た、水だけに囲まれた遠い村だ。彼は、水だけが過去を浄化できると信じ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 11:10 AM

April 26, 2020

『The Green Fog』ガイ・マディン、エヴァン・ジョンソン、ガレン・ジョンソン
結城秀勇

 「映画のはじめのほうで、ジェームズ ・スチュアートがマデリンのあとをつけて墓地にやってきたとき、彼女をとらえたショットはすべてフォッグ(霧)フィルターをかけて撮影し、ぼんやりと夢のような、謎めいたムードをだすようにした。あかるい太陽がかがやいているところに一面に霧がたちこめているような、淡いグリーンの色調だ」(『映画術 ヒッチコック/トリュフォー』)。ヒッチコックのこのような発言を見るなら、『め...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 7:49 PM

April 24, 2020

『ルディ・レイ・ムーア』クレイグ・ブリュワー
結城秀勇

 かなりの評判をこの数ヶ月間聞いてきた『ルディ・レイ・ムーア』をやっと見た。ご多分にもれず号泣。  実在のコメディアン・映画プロデューサーの伝記映画なのはなんとなく知っていたから、もう60歳に手が届こうというエディ・マーフィの起用は、てっきり一瞬の栄華を極めた男のその後の衰退までを描くことを意味しているのかと思っていた。『ハッスル&フロウ』『ブラック・スネーク・モーン』に続くはずの三部作の完結編の...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:49 PM

April 23, 2020

『37セカンズ』HIKARI
二井梓緒

 スーザン・ソンタグは、『隠喩としての病』の中で病気それ自体よりもそれに付随する隠喩や言葉のあやが一人歩きしているという。彼女がいう病気はとりわけ目に見えないものであるが、障がいもそれに当てはまるのではないだろうか。  まだこのような状況になる前、アップリンクに通い詰めていた時期によく流れていた『37セカンズ』の予告を見てそんなことを考えていた。それだけでなんだか満足していたし、気づけば映画館は閉...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 11:17 AM

April 11, 2020

『ザ ・ライダー』クロエ・ジャオ
梅本健司

 この映画の主人公ブレイディ・ブラックバーン(ブレイディ・ジャンドロー)が初めて馬に乗り、広野を走り抜ける姿をわれわれが目にする時、すでにこの映では四十分近くが経過している。確かに白馬が、誰もいない広野を走り抜けるというシーンは美しいし、見ていて心地よい。だが、こうした心地よさにこの映画の本質があるわけではない。  そのシーンの後、ブレイディが馬を調教するシーンがおかれる。それは『ザ・ライダー』に...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 5:17 PM

April 9, 2020

『東京のバスガール』(配信タイトル『若い肌の火照り』)堀禎一
二井梓緒

 暗い日々が続いていますね、私はネットでピンク映画ばかり見ています。  といっても、そもそもピンク映画に特に関心があったわけでもなく、もっと言うなら苦手だった。が、それでもいくつか観ていくと、ピンク映画という私の概念が揺らいでいくような素晴らしい作品がたくさんあることに気づいたのである。エロがあってもなくても映画は映画であってそれだけでもう最高なのだ!  堀禎一の作品もそんな映画だった。どの作品も...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:31 PM

April 7, 2020

『あとのまつり』瀬田なつき
結城秀勇

 「忘れねえよ」と呟いたはずの僕らは、それでもいろいろなことを忘れていたのだった。たぶんそれは、災害のせいでも、病のせいでも、ない。  2009年当時のインタビューで瀬田は、当初この作品が「まつりのあと」と名付けられていたのだと語り、でもそれが桑田佳祐の歌と同じタイトルだったから、「まつり」と「あと」を逆転させて「あとのまつり」になったのだと言っている。  もう半年も経てば「まつりのあと」だったは...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 11:04 AM

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