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March 9, 2017

『わたしたちの家』清原惟
三浦 翔

ここでありながらも何処か違う世界から届くプレゼントを受け取ること。同じ場所に前後関係もない、ふたつの時間が流れている、という設定だけを聞くとSF/ファンタジー的な想像力に支えられたアナザーワールドもののように思えてくるが、清原惟監督はそうした設定をなにも物語的に回収することはしない。そこで試みられているのは、ひたすらショットの連鎖だけでふたつの世界の関係を問うことであり、その視線は徹底的に映画的な...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:17 PM

March 2, 2017

『マリアンヌ』ロバート・ゼメキス
結城秀勇

モロッコっぽさを出そうなんて気は毛頭ないように思える、あの書き割りめいた砂漠にパラシュートで降り立ったマックス(ブラッド・ピット)は、砂漠の道を歩く途中で、自動車が砂埃をあげて近づいてくるのを目にする。それは物語上、マックスをカサブランカに連れていくために遣わされた味方の車なわけだが、自他ともに認める腕利きスパイであるマックスは警戒を怠らず、腰のホルスターのボタンを外し、銃に手をかけたまま近づいて...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:01 PM

February 19, 2017

『息の跡』小森はるか
結城秀勇

なんだか色味が独特だな、と思った。監督本人にインタヴューでそれを聞いてみた(2月末発売予定のNOBODY issue46に掲載)ところ「ちょっと古いHDVで撮ったからですかね......」と戸惑い気味に答えていて、特に意識したことではないと言う。鮮やかではあるがどこかにじんだようでもある画の質感から、2000年代初頭の、デジタル撮影→35mmブローアップされたいくつかの作品のこと(そしてそういう作...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 6:21 PM

February 13, 2017

『本当の檸檬の木』グスタボ・フォンタン
結城秀勇

冒頭、夫婦が何気なくかわす「おはよう」という挨拶の声の凶暴さに耳を疑う。はじめは会話の音が環境音よりかなり大きくミックスされているということなのかと思ったがどうもそうではない。続く、親戚の少年とともに主人公である夫が川を下る場面でなんとなくわかるこの凶暴さの正体は、登場人物の画面内の位置関係とはまったく無関係に、彼らの言葉と見なされる音が発せられる画面中央の空間がある、ということである。男と少年は...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 5:22 PM

January 6, 2017

『ミューズ・アカデミー』ホセ・ルイス・ゲリン
三浦翔

『ミューズ・アカデミー』という題名から、どんなミューズ論が聞けるのかと真面目に期待をしていれば面喰ってしまう。これはムチャクチャな男の映画である。簡単に説明すれば、大学で文学の授業を開いているピント教授は、現代におけるミューズの探究と言いながら、高尚な理論を並べ立てて女生徒を誘惑(?)していく。舞台は大学でもあるし、とにかく出てくる人がみんな自分の理論を大きな声で相手に向かって喋る。言っていること...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 5:35 PM

December 31, 2016

『ピートと秘密の友達』デヴィッド・ロウリー
結城秀勇

『セインツ-約束の果て-』のデヴィッド・ロウリーの新作が公開されている、しかもとんでもなく傑作である、と荻野洋一さんから聞き、見に行った。するとその言葉に違わぬ作品で、もうただただ泣けた。 どこかドゥニ・ラヴァンを思い出させる面構えの少年が、裸足で川の水を跳ね上げながら走り出すだけで泣けた。彼が住み慣れた森の中から文明社会へと連れ出され、そこからどうにか森に帰ろうと、駆け出し、跳躍するのを見るだけ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 11:48 PM

December 16, 2016

『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』リチャード・リンクレイター
結城秀勇

やっと見た。たぶん誰かがいろんなところですでに書いてることだろうとは思うけれど、この作品のアメリカ青春映画史における価値をもっともらしく一言でいうならば、スクールカーストのようなものがほとんど存在しない学園映画だ、ということだろう。ジョン・ヒューズ以来の学園青春もの映画では、学園内の序列やヒエラルキー、大人や社会から押し付けられるレッテルや分類といった類型化に苦しめられる若者たちが、なんとかその垣...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 4:33 PM

December 2, 2016

東京フィルメックス2016 『ザーヤンデルードの夜』モフセン・マフマルバフ
三浦 翔

『ザーヤンデルードの夜』で印象に残っているのは、主人公が同じ窓から見てしまうことで対比されるふたつの光景だ。イラン革命で街が煙に包まれるなか、倒れた仲間を助けようと引きずって運ぶ若者たちが銃で撃たれていく光景を、窓から主人公である大学教授が眺めるシーン。それと同じ窓から、今度はイラン革命以後の世界で、交通事故で人が倒れているにもかかわらずそこにいた人が逃げて助けなかったところを教授が目撃するシーン...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 3:06 AM

東京フィルメックス2016 『マンダレーへの道』ミディ・ジー
三浦 翔

ミディ・ジー監督『マンダレーへの道』は繊細に移民労働者の問題を描いている。主人公のリャンチンはミャンマーからタイに来たものの、労働許可証がないゆえに街で労働をすることが出来ない。不法入国のときトラックで知り合ったグオの紹介のもと、管理された工場で奴隷のように働くことを余儀なくされる。リャンチンとグオは恋に落るわけだが、二人の目指す方向は別々で、すれ違い、それゆえに悲劇的な結末を招いてしまう。グオは...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:54 AM

November 27, 2016

2016年 ボルドー国際インディペンデント映画祭(Fifib)報告 Part2
槻舘南菜子

前回に引き続き、ボルドー国際インディペンデント映画祭プログラム・ディレクター、レオ・ソエサント(Léo Soesanto、以下LS)氏へのインタヴューを掲載する。映画批評家の仕事の延長線上に自らのプログラマーとしての仕事があると語るソエサント。注目すべき若手作家を幾人も発見した彼が、いま必要だと考えていることとはどのようなものか。 ----フランスには、中堅の国際映画祭が多く存在します。たとえば、...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 3:03 PM

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