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June 27, 2008

成城コルティ
梅本洋一

 成城学園駅で降りたのはほぼ30年ぶりのことだ。目的は世田谷美術館分館清川泰次記念ギャラリーで開催されている、抽象画家・清川泰次が学生時代に撮影した「昭和十五年十一月十日.東京,銀座」の写真展を見るためだった。  だがせっかく成城学園で本当に久しぶりに降りたのだから、まずここで昼食を、と考え、「とんかつ椿」へ。東京の5指に入るこのとんかつの名店は、北口から徒歩10分ほどの完全な住宅地の中。おかげで...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 8:01 PM

June 24, 2008

『最後の抵抗(マキ)』ラバ・アメール=ザイメッシュ
結城秀勇

 積み上げられた無数のフォークリフト用パレットが赤く視界を染める。そこはパレットの修理とトラックのメンテナンスを行う工場だ。輸送の根底に関わるその場所には、しかしながら流通の主体となるようなものはない。パレットはあってもその上に乗せる商品はなく、壊れたトラックはあってもそれが商品を積んでどこかへ流れていく姿はない。ここで働く人々を含めこの作品に現れるすべてのものは、工場の狭い敷地内で修理と再配置を...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 9:54 PM

『イースタン・プロミス』デヴィッド・クローネンバーグ
高木佑介

 床屋で男が豪快に首を掻っ切られる光景を観て、まだ記憶に鮮明に焼き付いている『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』を思い出した。ティム・バートンと同じく、クローネンバーグの新作もロンドンがその舞台となっている。そして『イースタン・プロミス』の始まりを告げるべく男の首を掻っ切ったのは、もちろんジョニー・デップではなく、ロシアン・マフィアと関係を持つ怪しい人間たちである。  このフィルムに...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 8:00 PM

June 18, 2008

『イースタン・プロミス』デヴィッド・クローネンバーグ
梅本洋一

 このフィルムの中盤に知的障害の16歳の少年が、チェルシー戦のチケットを手に入れてとても喜ぶシーンがある。スタンフォード・ブリッジと思われるスタジアム近辺にはサポーターがたくさんが詰めかけている。おそらくチェルシー対アーセナルのロンドン・ダービーだろう。  物語と骨相とほとんど関係のないこのシーンは、実へこのフィルムにとってとても重要なものだ。クローネンバーグは、スティーヴン・ナイトによるシナリオ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:49 AM

June 15, 2008

『ミスト』フランク・ダラボン
結城秀勇

 どこかからほとんどなんの理由もなく異生物がやってきて人々が右往左往するこの映画を見て、『クローバーフィールド』を思い出した。この2本を私はまったく評価しないけれど、私たちがなにを見ているのかを(逆説的に)考えさせられた。  閉鎖空間となったスーパーマーケットの、ファサードに貼りめぐらされたガラス越しに襲来する怪生物を評して、女性教師は次のようなことを言う。それらはいるはずのないもの、私たちの知る...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:23 AM

June 14, 2008

『ぐるりのこと』橋口亮輔
梅本洋一

 『ハッシュ』以来6年ぶりの橋口亮輔の新作。『二十歳の微熱』以来、彼のフィルムを見続け、当初はどうしても目を背けたくなるようなナルシズムに閉口したこともあったが、それが次第に稀薄になり、「登場人物」という映画において必須の他者に眼差しが向かうようになる様を観察してきたつもりだ。  『ぐるりのこと』のすべては、子どもを失ったカップルの欠落と再生までの長い道程である。このフィルムを見終わって多くのこと...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 4:39 AM

June 10, 2008

『コロッサル・ユース』ペドロ・コスタ
山崎雄太

 真っ白い壁にもたれかかって役人から部屋の説明を受けるヴェントゥーラは、一点のシミのようでもある。  ひと月ほど前—、横浜・寿町にひっそりとたたずむマンションの一室を改装する現場に立ち会わせていただく機会を得た。寿町は元町・中華街とほど近い場所にありながら、東京の山谷、大阪の釜ヶ崎(あいりん地区)と並び日本三大ドヤ街として知られている。いまこれらの場所は、総じて外国人観光客向けの安宿として「クリー...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 3:47 PM

June 8, 2008

『トウキョウソナタ』黒沢清
梅本洋一

 佐々木家の主婦であり母を演じる小泉今日子は、目が覚めたらこれが悪夢であってくれたらいい、というようなことを言う。それまで、平凡きわまりない日常生活を営んでいたはずの、佐々木家には、父の失業をきっかけに次々に事件が起こっていく。否、それもまた日常なのかもしれないが、それまで平穏だと感じられた日常に、一旦、小さな亀裂が入ったように感じられると、佐々木家は世界の荒波にもまれてしまうようだ。  電車の線...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:46 AM

June 5, 2008

『ランボー 最後の戦場』シルヴェスター・スタローン
結城秀勇

 先月号のキネマ旬報の星取コーナーでは4人の評者がそろってこの映画にひとつ星をつけていた。その論旨は総じて殺人描写が残酷すぎて悪趣味だ(北小路隆志は、そこから政治的な意図を汲み取ることが不可能だというようなことを書いていた)ということだった。  いったいこの映画のなにを見てるのか不思議だ。この映画の極めて明確な政治的態度とは、虐殺はもちろん醜悪だし、なおかつそうした行為を行う最低な人間を殺す場合に...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 11:41 PM

June 1, 2008

バウハウス・デッサウ展@東京藝術大学大学美術館
梅本洋一

 すでに世界遺産にも登録されているからデッサウのバウハウスの校舎は、誰でもその姿を知っているだろう。シンプルなモダニズムの建築物でその縦型の広い窓からは自然光が降り注いでいる。いかにも居心地が良さそうな校舎。  ヴァルター・グロピウスの指揮の下に、カンディンスキーが、クレーが、シュレンマーが、そしてミース・ファン・デル・ローエがこの校舎に集い、この校舎周辺に新たに設計された宿舎に住まい、世界中から...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 7:50 AM

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